熊本県、熊本市と地元企業が一体となって設立した第3セクターの株式会社熊本流通情報センターは、地域の中小企業の情報通信能力の向上をサポートすることで地域経済の活性化を推進しています。 事業の中核であるEOS(受発注オンラインシステム)のリプレイスにあたりセイコーソリューションズの統合EDIサーバ構築パッケージ「ROS3」を採用した背景と効果について、システム事業部 営業管理課 課長代理 村上 学氏と、同課 主査 坂田 匡由貴氏にお話を伺いました。

1. お客様の大切なデータをお預かりする熊本流通情報センター

ー 熊本流通情報センターについて教えてください。

熊本流通情報センターのホームページ
熊本流通情報センターのホームページ

株式会社熊本流通情報センターは、国のニューメディアコミュニティ構想に基づき、熊本県、熊本市、熊本商工会議所や地元企業の出資により1987年に設立され、情報通信の分野で27年間の実績を積み重ねてきました。
設立当初は流通業の受発注業務を中心とした広域流通ネットワークシステムの構築・運用からスタートし、その後データセンターを基盤とした自治体向けの情報サービスの提供と運用、2004年からは自治体コールセンター事業にも取り組んできました。

お客様の情報を守るため情報セキュリティーには常に先駆的に取り組み、「ISMS(ISO/IEC27001)」「プライバシーマーク」「情報システム安全対策適合証明」の認証を取得し、お客様の大切なデータをお預かりするデータセンター事業者として、万全の対策を講じてきたところです。
今後も最新の情報セキュリティー対策のもと、技術力の向上とサービスの充実を図り、地域社会の発展に貢献してまいります。

2. 2006年のリプレイスで初めて「ROS3」と出会う

— 現在、統合EDIサーバ構築パッケージ「ROS3」[ロス・キュービック]をどのようにお使いですか。

「EOS(受発注オンラインシステム)に おけるデータ通信のコアとなる部分で 「ROS3」を使用」と坂田匡由貴氏
「EOS(受発注オンラインシステム)におけるデータ通信のコアとなる部分で「ROS3」を使用」と坂田匡由貴氏

当社が小売店(スーパーマーケットなど)と卸会社に提供しているEOS(受発注オンラインシステム)におけるデータ通信のコアとなる部分で「ROS3」を使用しています。
EOSは、小売店が発注端末(通称:HT/ハンディターミナル)に入力した発注データを、KR−VANセンターが受信・データ加工して、卸会社のコンピュータにデータを渡し、卸会社で納品/仕入伝票を発行して納品します。
このKR−VANセンターにおける全銀TCP/IP、JCA手順での集配信を「ROS3」が担っています。現在、EOSは小売店舗数188店、卸会社105社が利用しており、月間データ量は約64万件に上ります。

— ROS3」を導入する前は、どのようなシステムでEOSを運用していたのですか。

EOSはもともと汎用機で運用していました。その後、2000年問題の際にシステムをUNIXマシンに移行して運用を続けてきましたが、ハードウエアの老朽化などから、2006年にハードウエア、システム両方のリプレイスを行い、そのとき初めて「ROS3」を導入しました(稼働は2007年4月)。
2013年のハードウェア保守切れによるリプレイスに際しては、機能追加などのシステムの変更を行いましたが、「ROS3」はバージョンアップするかたちで継続して利用しています。

— 最初に「ROS3」を導入された背景について教えてください。

2006年当時、今お話したハードウエアの老朽化と処理速度が課題となっていました。日次処理や月次処理に時間がかかり、お客様に迷惑をかけることもありましたし、処理が終るまでスタッフが帰れないという人的負担も大きくなっていました。また、お客様にご迷惑が及ぶような障害も数回発生していましたので、ハードウェアだけでなく、システムのリプレイスが必要でした。

3. システム全体について提案してくれたセイコーを選択

— 「ROS3」の選択において、2006年当時はどの様な要件で選ばれましたか。

「システム全体について提案してくれたセイコーに依頼しました」と村上学氏
「システム全体について提案してくれたセイコーに依頼しました」と村上学氏

リプレイスに際して複数社に声をかけ、最終的に3社からご提案をいただきました。
その中でセイコーソリューションズ(以下セイコー)からは、「ROS3」を中核として、システム全体についてのご提案をいただき、トータルコスト、流通業界で数多く使用されている実績などから導入を決めました。

実は、それまで使用していたシステムでもセイコーのプロトコルコンバータUSTを使用しており、サポートの対応が良いという印象がありました。
ですから、私たちとしては「ROS3」を選んだというよりも、「セイコーの提案」を選択したという認識です。

— 2006年に導入された際のポイントがありましたらお教えください。

これは今でも変わらないのですが、「ROS3」の細かな設定はセイコーにお任せしており、運用を担当するオペレーターは、従来から使用している画面イメージそのままで運用できるように作り込んでいただきました。
システムはリプレイスしましたが、今までと同じ画面イメージで作業ができますから、リプレイスに際しての特別な教育も必要ありませんし、もともと携っていなかったメンバーでも、少しだけ教えれば使えるようになります。

2007年4月の稼働以来、記憶に残るような大きな障害やトラブルはなく安定的に稼働し続けています。私たちのシステムは、お客さまの受発注に関わる「止めることができないシステム」だけに、安定して稼働することは絶対かつ必須条件なのです。この安定稼働が2013年のリプレイスにつながっていると思います。

4. 2013年のリプレイスでは迷わず「ROS3」をバージョンアップ

— 2013年のリプレイス内容についてお教えください。

いまお話したようにシステムは安定的に動き続けていますので、「ROS3」をバージョンアップするかたちで対応しました。ハードウエアはセイコーの提案もあり、高信頼性のサーバに集約したVM環境とし、中核となるシステム「ROS3」を変更しないことで、全体のコストを抑えたいという意図もありました。

システム的には、課題となっていたいくつかの箇所の改修を行いました。
「ROS3」としてはWebEDIに対応した「ROS3/Web」と、次世代EDIの規格「流通ビジネス・メッセージ標準(流通BMS)」に対応したオプション「BMSConnector」を追加導入しました。

— 課題となっていたシステムの改修について具体的にお教えください。

お客さま向けでは、いままで卸会社向けの発注データを作成する際に、発注日時点の商品マスタの内容(原価売価など)で設定されていたものを、納品日の原価売価で設定できるように改修しました。これは卸会社からのご要望にお応えしたもので、値動きが激しい商品を扱っている場合、発注時と納品時では原価売価が異なるため、先付け発注などで意図しない原価売価になることをなくすためのものです。

5. WebEDI、そして流通BMSにいち早く取り組む

— 「ROS3/Web」を導入された意図をお教えください。

今まで、全銀TCP/IP、JCA手順の二つの通信手段を持っていましたが、WebEDIを導入したいと考えていました。
導入前、データ通信に対応していない卸会社に対しては、伝票イメージの発注内容をFAXで送っていましたが、「ROS3/Web」を導入することでそれを廃止して、今までと同じ様式をWebからPDFで取得してもらうかたちに変更しました。FAXの場合、通信エラーの対応や通信コストの問題がありましたが、これを解消できます。
また、全銀TCP/IP、JCA手順は導入コストがそれなりにかかるのでEOS導入を見送っていた卸会社にとっては、インターネット環境とPCがあれば利用できるようになり、導入のハードルが下ります。もっと多くの会社にEOSを使っていただくきっかけになればと考えています。

— 流通BMS「BMSConnector」の導入意図をお教えください。

「ROS3/Web」同様、通信手段を増やしておきたいということが第一です。
もちろん、安価で高速なインターネット回線を利用してセキュアかつ効率的な集配信を行い、今後、予想される国際的な取引にも対応可能な流通BMSにいち早く取り組むことで、地元企業に貢献したいと考えています。

6. お客様へのサービス向上に積極的に取り組んでいきたい

— 今後の取り組み予定などありましたら、お教えください。

現在、取り組んでいるのが、毎月数百社に郵送していた請求書をWebで配信したいというご要望に対する対応で、セイコーにも相談しながら取り組んでいます。
今後、お客様へサービス向上のために流通BMSを含め、積極的に取り組んでいきたいと思います。

— 今後の期待などありましたらお願いします。

数多くの流通業で実績をお持ちと伺っていますので、いろいろな事例をもっと私たちにお教えいただければと思います。また、今後の取り組みの際には新たなご提案に期待しています。

 

熊本流通情報センター様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

お客様プロフィール

株式会社熊本流通情報センター
URL http://www.kdis.co.jp

※ 取材日時 2014年1月