ネットショップ向け決済代行サービスを提供するペイジェントは、クレジットカード決済システムの構築にあたりセイコープレシジョンのCAPSを採用。その経緯と効果について、システム部 伊野陽氏(写真左)と荻原充彦氏(写真右)にお聞きした。

ペイジェントについて

ペイジェントは、2006年に、株式会社ディー・エヌ・エーと株式会社三菱東京UFJ銀行との共同出資により設立された、インターネット・携帯電話上での決済代行サービス会社です。ユーザのニーズに沿った決済ラインアップの拡充、最新のセキュリティー規格 PCIDSS ver2.0へのいち早い準拠、安定したサービスを提供するための高い信頼性・可用性を備えたインフラ基盤の構築など、サービス品質向上に積極的に取り組んでいます。売上げは30億6555万円(2010年度)、社員数は21名です。

クレジットカード決済システムの概要

— ペイジェントで提供されているクレジットカード決済システムについて教えてください。

ペイジェントでは、ネットショップ向けに、クレジットカード決済コンビニ決済継続課金など8種類の決済方法を提供しており、2011年12月31日現在の加盟店数は4516社となっています。

2010年4月にクレジットカード決済業務について、より高速なスループットおよび汎用性・安全性の担保を目的とした新システム基盤の運用を開始しました。新システム基盤については、カード決済センターとの接続部分にセイコープレシジョン様の自動決済パッケージ「CAPS」を採用しています。また、セイコープレシジョン様には、既存業務システムとCAPSとの連携部分のSIも担当してもらいました。

ペイジェント決済代行サービス システム概要図 

— クレジットカード決済業務システムを新規に構築しようと考えた理由は何ですか。

2006年のペイジェント決済代行サービス開始時から運用していた業務システムは、加盟店数およびトラフィック量の急激な増加にともない信頼性・可用性の面で不安が出るようになっていました。加盟店様の要求するサービス品質を満たすインフラ基盤を構築することが、当時の最重要課題でした。

新システム基盤の構築にあたっては、1日も早いシステムの安定性確保と、早期サービスインのため、自動決済パッケージの採用を検討することにしました。

製品選定の条件 ~カード決済センターとの接続実績、ノウハウを持った会社の製品にしたかった

— 自動決済パッケージは、どのような条件で探しましたか。

「容量にはまだ余裕があるので、しばらく現状のまま使えると思っています」伊野氏
「容量にはまだ余裕があるので、しばらく現状のまま使えると思っています」伊野氏

以下の2つの条件を満たす製品を、まずはカタログベースで探しました。

1.トラフィック量の増加に柔軟に対応できること
決済代行サービスという性質上、事前に予期できない突発的なトラフィック量の増加が見込まれます。そのような場合でも柔軟に対応できる拡張性・汎用性を備えている製品が必要でした。

2.PCI DSSに準拠していること
カード情報の漏えいなどのセキュリティー事故に備えた対策は、EC事業者にとって最も関心の高いトピックのひとつです。弊社では決済パッケージ検討時に、既に国際セキュリティー基準であるPCI DSS完全準拠の認定を取得しており、製品選定の上でPCI DSSへの準拠は必須事項でした。

ここで3社の製品に絞り込み、それぞれ具体的な提案をしてもらい、次の条件で最終選定しました。

3.カード決済ネットワークへの接続についてのノウハウがあり、パッケージ提供だけでなくSI力があること
カード決済ネットワークを通じてカード会社と接続するためには、システム連携以外の部分も含め、多岐にわたる煩雑な業務上の調整や手続きが必要となります。また、今回のシステム構築では、既存システムへの影響を極力抑えて短納期/低コストでカード決済パッケージを導入することが求められました。そのため、導入のコンサルティングやインターフェース部分のSIを含めてお願いできる会社に依頼したいと考えていました。

3社の中でセイコープレシジョン様の提案が、導入コンサルティングやSIの部分で最も弊社の要望を理解した的確な内容になっていたことが決め手となって、セイコープレシジョン様にお願いすることにしました。2009年6月から要件定義に入り、2010年1月中にはシステム開発を完了し、2月からは各カード会社との総合接続試験を行いました。

導入効果 ~決済件数が5倍になっても安定稼働

— CAPSを利用されて、効果のほどはいかがですか。

「セイコープレシジョンは、親身に問題解決に当たってくれる頼りになる存在です」荻原氏
「セイコープレシジョンは、親身に問題解決に当たってくれる頼りになる存在です」荻原氏

導入以来ほとんどシステム障害の発生もありません。決済件数は構築当時と比較すると5倍以上に伸びておりますが、想定していた通りのサービス品質を維持したまま、システムを運用できています。
また、チケット販売サイトや携帯向けデジタルコンテンツ販売サイトなどピーク時の負荷が非常に高い加盟店様に対する弊社決済サービスの提供実績も増えておりますが、余裕を持って運用できております。

— セイコープレシジョンの対応はいかがでしたか。

運用開始後も、親身になって対応していただいており、とても助かっています。
例えば、運用開始直後に、弊社内での人為的な設定ミスにより、アプリケーションの不具合が夜中に発生したことがありました。その際も、障害原因を特定するために必要な情報やリカバリ手順を迅速にご提供いただくなど、非常にきめ細かいフォローをしていただきました。そのおかげで、大きなトラブルに発展することなく解決できました。

— 運用開始までに苦労したことはありますか。

開発中は、カード会社との連携インターフェース部分で問題が出ることがよくありました。区分やコード値の違いなどのカード会社ごとのインターフェースの差異や、ボーナス一括払いの取扱い期間の差異について、ひとつひとつ各カード会社にヒアリングしつつ仕様をとりまとめていく作業が開発中もっとも骨の折れる作業でした。
このときもセイコープレシジョン様のアドバイスを受けることで、カード会社へ確認が必要な問い合わせ項目の洗い出しや、カード会社からの回答内容のシステムへの反映などをスムーズに進めていくことができました。

国内開発の安心感

— 今後の取り組みの方向性を教えてください。

ネットショップ事業者様へのさらなる付加価値の提供のために既存のネット決済サービスを充実させていくことは当然のことですが、新規サービスとしてカード決済端末やクレジットカードリーダーを利用したリアル店舗への決済サービスの提供を検討しています。また、店舗決済を取り込むことでネットとリアルを組み合わせたO2Oサービスの提供なども視野に入れています。

— 今後のセイコープレシジョンへの期待について教えてください。

ペイジェントでは、今後も、より便利で安心して使える決済サービスを提供できるように努力していきます。新規サービスの導入に当たっても、その基本は変わりません。セイコープレシジョン様には、ペイジェントの姿勢をシステムとノウハウの双方でバックアップしてもらえることを期待しています。よろしくお願いいたします。

お客様プロフィール

株式会社ペイジェント
http://www.paygent.co.jp/

※ 取材日時 2012年2月