【コラム2】IPv4延命とIPv6移行への対応

IPv4プロトコルとIPv6プロトコルは、仕様上の制約によりそれぞれの機器同士で直接通信することができません。IPv4アドレスが枯渇に向かっているとはいえ、一気にIPv4デバイスが無くなってIPv6デバイスに切り替わるわけではなく、当分の間(10年とも20年とも言われています)IPv4プロトコルが使用され続けると予想されています。この期間、各企業や組織は、IPv4延命への対応が必要になるとともに、IPv4とIPv6の両方のプロトコルが共存するため、両方のプロトコルでサービスを提供する必要があります。

また、IPv4の延命を図るとともに、IPv6移行を考慮したうえで、IPv4とIPv6の共存を検討しなければいけません。そのためには以下のような方法があります。実際には、Webやメールなどそれぞれのサービスにより、またインターネット上のサーバか、社内のサーバのどちらを対象とするか、サーバの設置場所によっていろいろな方法や手段が考えられ、状況にあわせて考慮する必要があります。

(1) IPv4/IPv6共存手段

◆デュアルスタックによる対応

デュアルスタックとは、ネットワークやネットワーク機器、サーバ類、クライアントデバイスまですべて、IPv4とIPv6の両方のプロトコルが処理できるように構築することです。(一部のみデュアルスタック化するケースもあります)
この方法の場合、外の環境がどのように変化してもアクセスできることが期待できるので、最も確実な方法といえるでしょう。ただし、すべての機器をデュアルスタック化するスキルが必要であったり、通信障害が発生した場合の切り分けやログ監視などの運用が複雑になることなどがデメリットとして考えられます。

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◆IPv6/IPv4トランスレータによる対応
トランスレータは、直接通信できないIPv4デバイスとIPv6デバイス間で、双方向のアドレス変換を行います。この変換処理の手順は標準化されており、NAT64手順の場合は、サーバ側のプロトコルはIPv4のままで、IPv6クライアントからのアクセスを実現します。
特にIPv4とIPv6の共存期間のうち、IPv4デバイスが大半を占める状況では、IPv4サーバのままでIPv6サービスを提供できるトランスレータは、移行期間の橋渡し役として、また既存資産の有効活用という点からも注目されています。
また、共存期間のうち、IPv6デバイスが多数を占める状況になっても、IPv6化できないIPv4サーバへのアクセスのための変換装置としてトランスレータを有効活用できます。

トランスレータの導入形態は、インターネット接続環境を、既存のIPv4環境とは別にIPv6環境を構築してトランスレータを設置し、IPv4環境への影響や設備変更を少なくする構成と、インターネット接続をIPv4/IPv6のデュアルスタックにしてトランスレータをワンアームで設置することで、接続回線を1本にして回線費用を節約する構成があります。
IPsecやSIPなど、変換できないプロトコルが存在することがデメリットとしてあげられます。

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(2) IPv4延命手段

IPv6移行と同時にIPv4アドレスの延命を考えることは、IPv4/IPv6共存をスムーズに実行するためにも必要になります。セイコーソリューションズのIPv6/IPv4トランスレータがサポートする464XLAT機能は、IPv6移行とIPv4延命を対策するソリューションです。
各家庭や小規模拠点に設置されるCLATとISPに設置されるPLATが連携し、宅内ルーターでは単純なIPv4⇔IPv6 変換を行い、トランスレータ内のPLAT機能でステートフルなIPv6⇔IPv4変換とポート番号の有効活用を行うことで、1つのIPv4グローバルアドレスに多数のIPv4クライアントPCを対応させることができるため、インターネット接続時のIPv4グローバルアドレスが節約でき、IPv4アドレスの延命が達成できます。また、IPv6クライアントPCへ移行が始まっても、直接インターネットに接続できるので、IPv6移行がスムーズに行えます。

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