沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、2012年に開学した世界レベルの大学院大学です。60以上の国と地域から集まった研究者が科学分野の枠を超えて協力し、化学、工学・応用化学、数学、海洋学、物理学、生態学・進化生物学、生物学、神経科学、計算科学などの領域で学際的な研究を展開しています。
著名な科学者やノーベル賞受賞者も多数在籍しているこの大学ではすべての教育と研究が英語で行われており、設立10年で世界トップクラスの研究機関と同等の成果を上げ、科学技術の発展に貢献しています。

1.【導入背景】大学設立時から時計はNTPで同期するものを採用していました。

- NTPで同期する時計を導入した背景をお聞かせください。

当大学ではもともと学内の時計はNTPで同期するもので統一する方針が定められていました。おそらくキャンパスの立地や建物の構造から電波が入 らない場所が多く存在することと、長期的に施設の増強を継続していく計画があり、増設容易性を重視したことから電波時計や設備時計ではなく、学 内のネットワークで同期する時計の導入が最適と判断したからだと推察しています。

2.【経緯】従来設置していた有線タイプでは設置性に課題があり、無線タイプの時計を探していました。

— セイコーのNTPクロックを検討されたきっかけについてお聞かせください

2011年の大学設立当初には海外の有線タイプの時計を20台程度設置しました。最初に時計を導入してから10年以上が経ち、一部の時計が故障して交換が必要になったほか、新しい研究棟の増築でさらに時計が必要になりました。大学の設立当時、時計は施設課の管理下にありましたが現在ではネットワーク配下にあるIT端末ということでIT担当が管理を行っています。以前時計を設置する際には配線工事を行いPoEタイプの海外の製品を採用しましたが、IT端末としてより導入および管理が容易な時計をIT担当者が5年ほど前から探していました。

3.【決め手】無線タイプは学内のLAN環境を活用できるため、設置性に優れており今後の需要にも柔軟に対応できます。

実験室に設置されたNTPクロック

— 無線LANタイプのNTPクロックの導入を決定した経緯をお聞かせください。

キャンパス内の各建物内に敷設されている有線LANのケーブル本数には限りがあり、既存の建物内での時計の増設は難しい状況でした。またキャンパス内の施設の増強に合わせて今後増え続ける時計すべてを有線で配備するのは非現実的です。そこで初期コストをできるだけ抑え、設置性にも優れている無線LANタイプのモデルが望ましいと考えていたところ、前任者がセイコーに該当する製品があることを知り、導入に向けて具体的な検討を開始しました。学内は無線LANが整備されており、それを活用することで配線工事をせずに速やかに時計を設置できることが一番大きな決め手でした。キャンパス内のネットワークから時計専用のネットワークを分岐させ、NTPクロックはこの環境内で学内のNTPサーバーから時刻情報を受信しています。

— 無線LANタイプのNTPクロックが優れていた点をお聞かせください。

時計の設置は各研究室から要望があった際に対応するので短期間で設置ができるNTPクロックは非常にありがたいです。電気時計や電波時計のように設置場所の制限もなく、必要な場所に時計をかけることができることも重要です。また長期的な観点でも設置容易性は重視されます。研究棟の増設は数年かけて計画をされるため設計時にはどのような研究室が入室するかは不明です。そのためあらかじめ必要となりそうな時計の台数は大まかに予測を立てますが、その設置場所は建物の建設時には不明なことも想定されますし、すでにある研究室の移動も発生するので導入の容易性や建物にダメージを与えないためにも回線工事が不要なことが望ましいです。
既存の有線タイプの時計については故障等で交換の必要性が出た場所から置き換えており、それまで使用していた有線LANは他の用途で再利用しています。

4.【効果】今年オープンした研究棟を始め、要望のあった様々な場所にNTPクロックを設置しています。

— どのような場所に設置されていますか。

既存の時計の交換以外に新たに設置の希望があったのは10か所程度です。時計が設置されているのは教室、実験室、会議室、オフィスやセミナーなどを行う講堂等です。
実験の記録には時刻も重要な情報となり得ますが、実験室ではスマートフォンやPCを持ち込めないところもあり、時計の設置が必要でした。今回導入している時計はほとんどがアナログタイプですが、一部の実験室については希望に応じてデジタル型の時計も設置しています。実験室以外では打ち合わせが多く行われる会議室や、キャンパスのセンター棟内の学生が集まる3つのセミナールームなど、多くの学生や職員が利用する場や、キャンパス内の保育所にも設置しています。
大学の設立から10年以上が経過し、この春には第5研究棟がオープンし、こちらの施設でもNTPクロックは導入されています。今後も数年おきに研究棟を増設していく予定ですので、時計の設置台数も増えていきます。

5.【今後の期待】今後の時計設置要望に対応できる目途はたったので電池交換等のメンテナンスをより簡略化できることが望ましい。

— 今後の期待をお聞かせください。

今後NTPクロックを接続しているネットワークを切り替える必要があるのですが、その際には一台ずつ設置している場所に行き再設定を行う必要があります。現在その作業が必要な時計は20台程度なので対応ができますが、時計の台数が増えてるとプロジェクトとして設定して遂行していく必要が生じると思うのでリモートで設定変更ができるようになるとよいと思っています。
また電池交換時期を把握するために導入したNTPクロックについては設置先と設置時期をリスト化して把握するようにしました。ある一定の時期が経過したら電池切れになる前に電池を交換するためですが、現在は秒針が停止する電池切れ予告機能によって、時計を設置場所からおろすことなく電池残量をある程度把握することができます。これで安心して電池の交換タイミングを決定することができますが、こちらもリモートで電池残量を確認することができるようになるとよりメンテナンスの負荷が軽減すると思います。
(メーカー補足:SNMPで電池切れ警告をリモートで受信可)

左から学校法人沖縄科学技術大学院大学学園 運用・サポートセクション 松浦孝紀氏、梅田裕亮氏

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沖縄科学技術大学院大学
URL:https://www.oist.jp/ja

※ 取材日:2023年5月