住友電設住友電設は新築ビル等建造物の電気・空調設備、既存ビルのリニューアル、工場プラントの計装設備、情報ネットワークの構築、通信設備、環境関連、電力流通設備などの事業を展開し、国内外の幅広い分野でインフラ基盤の創造に取り組んでいます。
2020年4月に創立70周年を迎え、その記念事業のひとつとして、社員教育の更なる充実を目指して川崎テクニカルセンターが新設されました。NTPクロックを導入し、2023年4月にオープンした当センターは実機研修室、安全危険体感室など各種研修施設のほか宿泊設備も備えた初の教育に特化した施設となっています。

  • ショールームの役割も担う研修施設の新設で自動補正機能のある時計の設置計画を立てることになった。
    限られた期間内で館内どこでも正確な時刻を表示する時計を選択して設置する必要があった。
  • 既存のWi-Fi環境を活用して時刻補正をするNTPクロックを採用し、回線工事なしで短期に設置した。従来の電気時計と異なり部屋の用途に応じて設置場所の変更を行えるメリットを紹介していきたい。

1.【導入背景】新設したセンターのオープン直前に時計の設置場所や台数を検討する必要がありました

- NTPクロックを導入した背景をお聞かせください。

新規に建物の電気設備の設計や工事を行う際、電気時計や電波時計の設置に関しては以前から課題を感じていました。親子式電気時計の場合、基本計画の段階から配線経路や時計の設置場所を決定する必要がありますが、什器のレイアウトがまだ確定していない段階では時計の設置位置を決めることが難しいケースもありました。実際、この研修センターは研修用の施設であると同時にショールームの役割も果たしているほか、社員の執務室もあるため、時計の設置場所については建物のオープン直前に検討を開始しています。

2.【経緯】電波が届かない場所がある環境下でも自動補正ができる時計の調査を行いNTPクロックを見つけました

— セイコーのNTPクロックを検討されたきっかけについてお聞かせください。

そこで従来の電気時計以外の選択肢を検討することになったのですが、自動的に時刻補正ができない時計を導入した場合、すべての時計を管理することは大きな負担となることを懸念していました。また電波時計は配線工事が不要である一方でコンクリート製のこの建物では電波が受信できない場所が多く存在することが予想されました。事実、建物の建設中にも業務のために電波時計を使用していましたが、電波が届かずに外に時計を持ち出して時刻合わせをする必要がありました。そのような時にインターネットで検索をしてNTPクロックの存在を知り、導入の検討を開始しました。

3.【決め手】館内全域で整備していたWi-Fiを活用し、場所を問わず設置できることが決め手となりました

— 無線LANタイプのNTPクロックの導入を決定した経緯をお聞かせください。

NTPクロックはWi-Fiに接続してNTPサーバと時刻合わせをする仕様であり、本施設基幹ネットワークがオールWi-Fi環境下で相性が非常によく、時計の設置場所を選ばないというところが大きな決め手となりました。建物内に整備したWi-Fi環境は社員のみが利用可能にしており、MACアドレス認証を利用することでセキュリティ面でも問題ないことを情報システム部門にも確認してもらいました。

研修室に設置されたNTPクロック

— 無線LANタイプのNTPクロックが優れていた点をお聞かせください。

このセンターの建物は2022年の年末に完成し、新入社員の研修開始時期に合わせて翌年4月にオープンすることになっていました。年末から4月までの限られた準備期間の最終段階で時計の設置を検討し始めました。電池式のため工事が不要で、かつWi-Fiを使用して自動補正するNTPクロックを選択することによりスムーズに設置が進み、スケジュールに間に合わせることができました。
従来建物を建設する際は最初の設計段階で親子式の電気時計の導入を検討するのですが、例えばテナントビルではフロアプランが変更されることを見越して建築時に時計の設置を想定した電気工事を行わないほか、昨今のテレワークの浸透によりオフィスでもフリーアドレス化が進み、後付けできる備品としての時計の需要は今後高まると予想されます。

4.【効果】研修室や食堂などで常時正確な時刻を確認できるようになり、お客様にも紹介しています

— どのような場所に設置されていますか。

NTPクロックは玄関ホール正面のほか、2階の研修室、安全機器体感室、食堂、事務所などに計32台を設置しています。研修室は大中小合わせ11部屋あり、すべての部屋に設置しています。新入社員はまずここの新人教育用研修室で6カ月の研修を受講し、国家資格である「電気主任技術者試験(電験三種)」の取得を目指します。約60名の新人が一斉に研修をスタートしますが、所属部門や経歴に応じて順次受講カリキュラムが分化するため大部屋を分割して利用することになります。その際にも各室で時計を確認できるよう設置場所には配慮しました。利用シーンを想定し、後から設置できることも今回導入したNTPクロックの大きな利点と言えると思います。研修は学校と同様に教育カリキュラムごとにタイムスケジュール管理が必要ですが、スマートフォンなど社員が持つ端末と自動補正する壁掛けの時計の時刻がずれることもないので、常に正確な時刻で研修を進行することができています。
また前述の通り、この施設はショールームとしても活用されておりお客様の来訪が多いことも特徴的です。会社の様々な取り組みをご説明する際にこのNTPクロックについても紹介しています。

5.【今後の期待】部屋の用途に応じて後付けできる点は今後の建物の新設やリノベーション等で需要が高まると期待しています

住友電設株式会社 人材開発部長 広瀬勝実氏

— 今後の期待をお聞かせください。

今回、非常に短期間に必要な場所に時計を設置することができたことに大変満足しています。提案いただいたシンプルなデザインは好評でしたが設置場所によっては調和しづらい場合もあります。たとえば、応接室のような空間ではもう少し重厚感のあるデザインのものが選択できることが望ましいです。
また建物の建設完了後、後から設置できることがNTPクロックのメリットである一方、電気設備工事として取り扱えるのはWi-Fi環境整備までであり、実際にNTPクロックを導入する際には時計自体は備品としてご購入いただくことになります。電気設備工事を実施するお客様にも今回のわたしたちと同様の要望をお持ちの方も多いと思いますのでNTPクロックの認知度を向上していくことが必要です。新たな時計の選択肢として今後も紹介し、お客様の施設運営に少しでも役に立てるよう推奨していきたいと考えています。

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お客様プロフィール

※ 取材日:2023年10月