弊社は、時刻同期装置のクロック誤差の抑制手法に関する特許発明について、公益社団法人発明協会が主催する「令和4年度関東地方発明表彰」*1の「発明奨励賞」を受賞しましたので、お知らせします。より高精度な時刻同期を安定的に実現できるという点が評価されての受賞となります。
- 受賞対象
時刻同期装置のクロック誤差の抑制手法（特許第6581254号） - 受賞者
戦略ネットワーク本部 戦略ネットワーク第１統括部 タイミングソリューション開発部 担当課長 倉田 陽介 - 受賞の概要
現在、ネットワーク上の時刻同期に用いるNetwork Time Protocol (NTP)の最上位サーバーにはGNSS等の時刻源から直接時刻情報を取得するタイムサーバーがしばしば用いられています。タイムサーバーは時刻源から定期的に受信する時刻情報に基づいて内蔵クロックの固有の周波数オフセットと時刻合わせのための歩度（クロックの進む速さ）を計算して、常に内蔵クロックの進み具合を調整します。もしも、なんらかの理由で時刻源からの情報が得られなくなった場合、タイムサーバーは回復不能かを判定するために数分程度の猶予期間を設けています。この時、周波数オフセット計算がまだ安定していなかった場合、この期間に大きく時刻ずれを生じる懸念がありました。
今回の発明はこの猶予期間の時刻ずれを抑制するための手法です。通常の周波数オフセット計算とは別に長期的に緩やかに更新される第2の周波数オフセット計算をもとにこの猶予期間中の時刻源との時差を正確に推定します。猶予期間経過後にその推定時差をもとに適切にクロックを調整することによって、時刻源と非同期状態であっても正確な時刻の維持を実現します。
令和4年度関東地方発明表彰受賞者一覧
http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/chihatsu/R4/jusho_kanto/
*1 地方発明表彰は、優れた発明、考案、または意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰することを目的として1921年に開始された表彰事業です。全国を8地方（北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州）に分けて毎年実施しています。
