1.【導入背景】業務上インターネットによる時刻同期ができず、手動運用の負荷が長年の課題となっていました
- 時刻同期環境の導入検討を行った背景をお聞かせください。
自治体の基幹システム運用では、ログの整合性や監査対応の観点から、システム全体で正確な時刻を共有できていることが欠かせません。 当社が運用する環境では、マイナンバー利用事務を取り扱っているため、クローズドネットワークを維持する必要があり、インターネット上の公開NTPサーバーを参照できない制約がありました。そのため従来は、タイムサーバーとして稼働しているWindowsサーバーの時刻を基準とし、毎朝手動で確認・調整を行うことで管理していました。 さらに、システム追加や構成変更のたびに設定作業が発生し、運用メンバーの負荷が増加するだけでなく、設定ミスのリスクも抱えていました。こうした状況から、クローズド環境内で正確かつ信頼性の高い時刻同期を自動的に提供できる仕組みの構築が長年の課題となっていました。2.【経緯】システム構成の見直しや移設のタイミングで、時刻同期環境の再整備に踏み切りました

LTEアダプター(上部)
― クローズドモバイルNTPを検討されたきっかけについてお聞かせください。
近年、ガバメントクラウド関連業務の拡大に伴い、基幹系システムの一部がクラウドへ移行する案件が増えてきました。こうした事業環境の変化やデータセンター基盤の再整理を進める中で、既存構成の見直しと移設計画を検討することとなりました。
そのタイミングで、従来からの課題であった「クローズド環境内での高精度な時刻同期」の仕組みについても改めて検討し、抜本的な見直しに取り組むことにしました。
今回の導入検討にあたっては、社内にクローズドモバイルNTPの導入経験を持つメンバーがおり、それ以前からセイコーのタイムサーバー製品に対する知見と信頼の積み重ねもあったことが、選定の後押しになりました。
― クローズドモバイルNTPの導入までの経緯をお聞かせください。
導入にあたり、データセンター環境で特に懸念していたのはモバイル回線の受信状況でした。電波調査は電話でサポートを受けながら実施し、分かりやすくスムーズに進めることができました。
切替は念のため業務時間外に実施しました。手順書に沿って機器を設置して接続し、電源を入れるだけのシンプルな作業で速やかに完了できました。従来から日々時刻確認を行っていたこともあり、大きな時刻ずれが生じていない状態で置き換えを行うことができました。
現在は年明けよりサービスの利用を開始しており、約1,200台の機器に対して時刻配信を行っています。

3.【決め手】閉域網を活用することで、セキュアな時刻同期を安定的に運用できる環境を整えました
― クローズドモバイルNTPが優れていた点をお聞かせください。
今回採用した「クローズドモバイルNTP」は、アンテナを必要とせず、モバイル閉域網を利用して時刻情報を受信できる点が大きな特徴です。インターネット回線を使用せずにセキュアな通信が可能なため、クローズドネットワークを維持する必要がある自治体基盤の運用に適しています。自治体・行政系での豊富な導入実績に裏付けられた信頼性が、最終的な決め手となりました。
当社はインフラSEが潤沢ではなく、オペレーター寄りの運用体制です。専門的な知識がなくても安定運用できること、サービス型として提供側が一気通貫で対応できる点も高く評価しました。
従来のアプライアンス製品と同等の機能をマネージドサービスとして利用できるため、初期費用を抑えられる点も魅力です。ファームウェアのバージョンアップなどのメンテナンスはセイコーに一任できるほか、自社環境に合わせて初期設定を施した機器が提供されます。初期設定にあたっては、運用環境のIPアドレスなどの情報を事前にセイコーへ共有しています。万が一故障・交換が発生した場合も、これらの設定情報を引き継いだ状態で対応してもらえるため、運用側の負担を最小限に抑えながら、迅速な復旧と安定した運用を実現しています。
4.【導入効果】信頼性の高い時刻配信により、運用負荷の軽減と品質向上につながりました
― 導入後、どのようなメリットがあったかお聞かせください。
導入後は、NTP設定が自動化され、運用メンバーの作業負荷が大幅に軽減されました。手作業による設定ミスや確認作業が不要になり、運用の属人化も低減しています。
また、信頼性のある時刻を基準に全システムが動作することで、ログの整合性が向上し、障害発生時の原因調査においても安心して運用できるようになりました。複数システムのログを突き合わせる場面でも、タイムスタンプを「信頼できる基準」として扱えることが運用品質の底上げにつながっています。
5.【今後の期待】安定した時刻同期環境をベースにさまざまなサービスの提供基盤構築を進めていきます
― 今後の期待をお聞かせください。

同 中川雅仁様、同リーダー市山智博様
データセンターの移設・集約を進める中で、ガバメントクラウド移行の流れも見据えています。基幹系の一部はクラウドへ移行していく一方で、すべての行政系システムがそのまま吸収されるわけではなく、内部に残るシステムや周辺領域では、引き続き正確な時刻情報に支えられた運用が求められます。
今後、参照端末の増加やネットワークの拡大が進む中で、安定した時刻同期の継続に加え、冗長化の検討なども含めて、より強固な基盤づくりを進めていく方針です。
今回、初めてサブスクリプション型のマネージドサービスを採用しましたが、導入のしやすさや運用負荷の低さを実感しています。これを契機に、社内の他の領域においても同様の形態で適切なサービスがあれば積極的に活用し、自社サービスをお客様により迅速に提供できる体制を整えていきたいと考えています。
※ 社名および記載されている内容は、取材当時のものです。


