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— 府政情報室 広報広聴グループの業務内容について教えてください。
府政情報室広報広聴グループは、民間企業でいうところの広報と広聴を担当する所属です。大阪府では、880万府民の家庭、くらしなど多岐にわたる業務を、約7600人の職員が、多くの所属、窓口に分かれて担当しており、それらすべての分野の窓口を一元化することはできません。広報広聴グループは、それぞれの所属の広報を統括し、効果的・戦略的な広報を展開するとともに、府民から寄せられる要望や苦情などの受付を主要な業務としています。
— 「府民の声システム」について教えてください。
「府民の声システム」を説明するには、まずオープン府庁の取り組みを説明する必要があります。「オープン府庁(究極の情報公開)」とは、①施策の意思形成過程から②予算編成、議会での審議、事業の執行、そして③支払に至るまでの府の一連の動きを積極的に公表し、その情報を見て④府に寄せられたご意見への対応状況を「見える化」しようとする取組みで、2008年より①~④の4つについて実施してきました。
そのひとつである、④府に寄せられたご意見への対応状況の「見える化」として、「府民の声の見える化」に取り組んでいます。
この取組みは、「府政へのご意見は、要望、意見等さまざまな形で日々大阪府に寄せられており、その中には府政運営に役立てるべき貴重な提言等が含まれている」との考え方のもと、府政へのご意見を広く受付けることはもとより、府政への反映を検討するとともに、事業内容をわかりやすく府民に伝え、府政への理解・協力を深めていただくことを目的として実施しています。また、寄せられたご意見は、「府民の声システム」で一元管理し、府政への反映状況やそれぞれのご意見に対する回答などを公表しております。
それらを円滑に実施するため、この度、従来の「府民の声システム」を更改し、新システムをゼロから構築し直しました。
「府民の声システム」の概要
— 新構築した「府民の声システム」の概要について教えてください。
「府民の声の見える化」は、①府民等から寄せられたご意見を登録し、②広報広聴グループで業務改善等につなげるもの、改めて大阪府の施策等をご説明するものなどに分類(フラグ立て)し、③担当する所属に検討・対応を依頼、④ご意見とその対応結果を原則すべて府Webサイトで公表という流れで実施しており、それら全ての情報を一元管理するのが「府民の声システム」です。
概要は以下の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
リリース | 2012年4月 |
寄せられる府民のご意見数 | 1日平均38.5件 |
担当専任職員数 | 4名 |
特長 |
府民の声の受付から公表まで全プロセスを管理
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更改前の課題 ~キャパシティを超えており、業務効率が悪化
— 以前のシステムにはどのような問題があったのでしょうか。

従来の「府民の声システム」は、海外製のコールセンター向けパッケージをベースにカスタマイズしたものでした。応対履歴とその内容を簡単に管理できる機能はありましたが、必須入力項目の区別がない、ワンクリックでワークフロー処理が流れない、寄せられたご意見を担当所属に伝達する際に手作業で一つ一つ伝達しなければならないなど、改善課題が山積み状態でした。パッケージベースのシステムのため、それらの改善や対応はできず、入力効率の改善と公開公表までの時間短縮などが差し迫った課題となっていました。
そして、そのような状況下で知事が替わり、府民の声は40倍に増えました。さらに、寄せられた声への対応状況を「見える化」して「情報公開日本一」を目指せという命題が課せられました。しかし、当時の「府民の声システム」の機能では対応しきれないため、「新システムはパッケージソフトではなく、ゼロから構築するぞ!」という思いのもと、新システムの要件をまとめ、一般競争入札でシステム開発会社を募集することにしました。
— システムの仕様は広報広聴グループで作られたのですか。
冒頭にお話した通り、我々は事務職員であり、システムの要件をまとめた経験はなかったので、始めてみて大変な作業であることに気づきました。日頃より連携していた情報システム部門に助けてもらいながら、なんとか仕様をまとめました。
— 入札の要件はどのようなものでしたか。
広く入札に参加してもらうために、条件もWebアプリケーションの開発ができることなど、一般的なものにしました。約30社の入札があり、入札価格が最も低かったセイコープレシジョンが落札し、構築してもらうことになりました。あの時計のセイコーの関連会社であるとはすぐには気づきませんでした。
導入効果 ~業務効率がアップし、公表までの期間が短縮された
— 今回、「府民の声システム」を再構築して、どのような点が改善されましたか。

さまざまな点が大きく変化し、業務効率がアップしました。大きな変化は、以下の通りです。
1.レスポンスの改善
まず、システムのレスポンスが格段に早くなりました。今ではワンクリックで、すぐに担当所属に送れます。
2.個人情報公表リスクの低減
公表用のデータと実際に寄せられた声を分けて管理できるようになったので、個人情報を誤って公表するリスクも格段に低くなりました。 3.運用の簡易化
受付から公表まで管理できるので、運用効率がアップしました。トップ画面では自分が担当している府民の声のステータスが表示され、要対応件数が一目で分かります。従来のように、未対応案件を自分で検索する必要もありません。
4.登録作業の効率化
必須入力項目が、画面上でひと目で分かるようになり、登録作業が早くできるようになりました。
5.公表作業の効率化
「府民の声システム」からデータをcsvで出力し、ホームページの管理システムにインポートすることで、自動的に公表できるようになりました。公表作業に手間がかからなくなりました。
— 府民や職員の反応はいかがですか。
システム更新により作業の効率がアップしたので、公表までの期間が短縮できました。以前は月に1度の公表でしたが、現在では週に1度です。府民からも、回答が早くなったと好評です。
また、府の職員向けのサポート窓口を設けていますが、使いやすくなったので、現行のシステムを運用し始めてからはほとんど問い合わせはありません。余談ですが、府民の声業務にメインで携わっている広報広聴グループの職員4名の残業時間は確実に減り、職場環境もよくなりましたね。
— セイコープレシジョンの対応はいかがでしたか。

正直、落札金額が低かったので、本当に要望通りのものができるのか不安でした。しかし、セイコープレシジョンの担当SEからより良いシステムとなるように、早い段階で画面のプロトタイプと動作イメージが提供されましたし、いくつもの改善提案がなされ、結果としてよいものができました。
例えば、トップページを見れば現在のステータスが分かるという仕様は、セイコープレシジョンの提案です。入力や振り分け、回答などに関する府側が使用する画面は、管理権限によって異なる画面が用意され、必須事項の入力に使用するテンプレートもログイン者の権限に応じたものが提示されるなど、きめ細かい機能がたくさん追加されました。さまざまな提案から、大阪府と一緒になってよいものを作り上げようとしているセイコープレシジョンの姿勢を感じ取ることができました。
画面構成は業務効率に直結するので、広報広聴グループとしてはこだわりました。仕様には定義していないけれど絶対に実現してもらいたいような機能も出てきました。そのため何度も意見交換を行い、その度に手戻りしましたが、嫌な顔をすることもなく次回の打ち合わせで必ず解決策を持ってきてくれました。対応スピードも速いので、安心して任せられます。
最も安く落札したのに、きちんとやってもらえたことを高く評価しています。
— 今後の抱負とセイコープレシジョンに対する期待を教えてください。
府政情報室 広報広聴グループでは、情報公開を迅速、正確に行うため、今後も日本一を目指して努力していく所存です。障害発生などにより「府民の声システム」が停止すると、業務に支障をきたすことになります。セイコープレシジョンには、そのようなことがないように契約期間中のシステムの保守をお願いしたいと思います。また、プロの目から見た運用上のアドバイスももらえると助かります。今後ともよろしくお願いいたします。
お忙しい中、ありがとうございました。