弊社上級ネットワークエンジニアによる、セキュリティーに関するコラムをお届けします。
会社の公式文書という形ではない、作者個人の現場感あふれるコラムをお楽しみいただきつつ、日頃の営業活動へのヒントやお客様へのコミュニケーションなどにご利用頂ければ、幸いです。

※本コラムは、平成28年3月頃に社内コラムとして連載したものに加筆・修正し、掲載させていただいています

第3回 Appleと人工知能

[1] iOS 9リリース

アップルからiOS 9がリリースされました。私はモルモットの精神で、iPhone と iPad をアップグレードしました。今回特に早く移行した理由は、うわさになっていた広告ブロック機能が気になっていたからです。移行した私の結果としては、特に大きな違いは感じませんでした。いずれ、ネット上にたくさんのレポートがあふれることと思います。 ただし、このようなことがうわさになるのは、アップル社の戦略として広告を制御したいという意図を感じるからだと思います。iOSにおいてこのようなことを行うと、今度は、きっとグーグル社もAndroid において同様なことを行うでしょう。 私個人からすれば、画面の一部に広告が出たり広告メールがスパムのようにくるのは、煩わしくてしょうがないので、歓迎したいところですが、OSメーカーが一企業の戦略でやってしまうところがすごいですね。それぞれの利用者が、ほしい広告の種別やその頻度などを設定することができればいいなあと考えてしまいます。 広告メールは、メールソフト側で種別や日付ごとに1つのファイルにダイジェストを整理してくれる機能があるといいですよね。

Appleと人工知能

[2] 人工知能はここまで来た

グーグルの関連会社デープマインド社が、自社開発した人工知能DQN(Deep Q-Network)を使って囲碁ソフトを作りました。3月9日から、韓国のプロのイ・セドル棋士※1と戦っています。これを書いている3月11日までは、ソフトの2連勝という結果で、5番勝負なので、あと1勝すればソフトの勝ということになります。

私の本音としては、この後、イ・セドル氏に3連勝してほしいところです。

 ※1イ・セドル棋士…2016年の世界ランキングで5位で、世界一に何度もなっている棋士。2016/03/15最終日の結果は1勝4敗でした。

 囲碁をご存知ない方もいらっしゃると思いますが、知らない方はWEBで調べていただくとして、オセロ、チェスは、もはやソフトのほうが強いといってよく、将棋についても、プロ棋士との対戦で互角の勝負になっています。ところが囲碁については、将棋の9×9という盤面に比較して19×19という広い盤面によるとてつもない選択肢の多さから、21世紀中は人間を超えることは難しいとか、CPUがこれまでのように進歩してたとしても2025年まではかかるだろうといわれていました。

Appleと人工知能

ところがその囲碁において、世界最強棋士の1人が負けているわけです。戦前の予想では、ソフトはよくても1勝だろうといわれていたのにこの結果です。ここで重要なのは、このソフトが囲碁のために作られたのではなく、このコラムでも何度か取り上げたディープラーニングとニューラルネットワークの仕組みを利用した人工知能ソフトであるということです。

インターネット上でディープマインド社やDQNに関して調べると、このソフトは作戦や戦術をプログラミングするのではなく、まるで赤ちゃんが物を覚えるように、入力した実践データによって自己学習し成長するそうです。その後は、実際の対局を行うことで能力がアップしていくということです。入力した実践データは、3000万局以上であると発表しています。

 今回の2連敗した結果をみて、ほかの棋士のコメントに「ソフトは、悪い手を打っても、後に引きずることはないから強い」というのがありました。これは、完全に的外れでしょう。ソフトは、自分が悪い手を打ったと判断はしていないでしょうから(笑)。

このような自己学習型の人工知能が、本当に赤ちゃんと同様の学習を、千分の1、1万分の1の期間で行え、そしてプロの域になり、自分自身との対決でさらに磨きをかけ、人知をも超えるレベルになる可能性を持っているということです。

このようなことが行われるのであれば、何の根拠もないのですが、応用される場面は格段に広がるのではないかと思います。たとえば、株式などの金融市場、犯罪捜査、医療診断、事件・事故の未然防止、そして教育現場などにぴったりではないでしょうか。 

 

※本コラムは、平成28年3月頃に社内コラムとして連載したものに加筆・修正し、掲載させていただいています。

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著者プロフィール

奥ノ坊 彰

奥ノ坊 彰セイコーソリューションズ株式会社 戦略ビジネス本部 エバンジェリスト

ネットワーク ・ セキュリティー「一筋」?十年。社内外のネットワークインフラ構築を担当する。社内の新人向けから技術者向けまでネットワークやインターネットの講座を幅広く開催している。

講習実績

  • 「デジタルでイノベーションを起こす」
    第4次産業革命への取り組み
    -セイコーソリューションズが進めるデジタルトランスフォーメーション支援戦略-