車両管理責任者の選任は必須?必要な資格は?業務の基礎知識と効率化のポイント

企業の「車両管理責任者」という役割は、社用車を安全かつ効率的に管理するために、企業が任意で選任する担当者のことです。
本記事は、企業の経営者や総務担当者、そして実際に車両管理を任された方に向けて、車両管理責任者の役割と重要性を基礎からわかりやすく解説します。
法律上の義務の有無や、安全運転管理者や運行管理者との違い、業務を進める上で課題となりやすいポイントや、業務効率化のコツについて具体的にお伝えします。
アナログな車両管理に限界を感じている方、日々の業務負担を減らしたい方に向けて、効率化につながるツールもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
車両管理責任者の役割と重要性
はじめに、車両管理責任者の役割と重要性について解説します。
車両管理責任者の役割
車両管理責任者とは、企業や団体が保有する社用車や公用車などの車両を、安全かつ適切に管理するために、各事業所において選任される担当者のことです。役割は以下の通りです。
| 車両管理責任者の役割 |
|
車両管理責任者は、法律で選任が義務付けられているわけではありません。
しかし、企業において車両を安全に管理し、事故やトラブルを未然に防ぐうえで重要な役割を担う存在です。
安全運転管理者や運行管理者との違い
企業で選任する自動車の運行管理に関する役職として、他にも「安全運転管理者」や「運行管理者」が挙げられます。次表は、それぞれの違いをまとめたものです。
| 項目 | 車両管理責任者 | 安全運転管理者 | 運行管理者 |
|---|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 法令上の選任義務はない (企業の任意) |
道路交通法により選任が義務 | 貨物自動車運送事業法等により選任が義務 |
| 選任義務の基準 | 企業の規定による | 自動車5台以上(または定員11人以上の自動車1台以上)を使用する事業所 | 事業用自動車(緑ナンバー)を使用する事業所 |
| 主な役割 | 車両そのものの管理、コスト管理、契約管理など | 人(運転者)と運行の安全管理 | 事業用自動車の運行計画・安全管理 |
| 主な業務 | ・車両の点検・整備 ・車両の契約・保険管理 ・維持費や燃料費の管理 ・安全運転管理者の業務遂行状況の確認 など |
・運転日報の確認 ・アルコールチェックの実施 ・安全運転指導、教育 など |
・乗務員の勤怠・健康管理 ・運行計画の作成 ・過労運転防止の措置 など |
| 対象車両 | 企業の社用車全般 (白ナンバー・緑ナンバー問わず) |
企業の社用車(白ナンバー) ※軽自動車、自動二輪車を除く |
事業用自動車(緑ナンバー) |
| 資格 | 特になし | 必要な資格はないが、運転管理に関する実務経験が必要 | 運行管理者試験に合格 または 事業用自動車の運行管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に運行管理に関する講習を5回以上受講していることなど |
車両管理責任者を企業で選任するメリット
前述の通り、車両管理責任者の選任は法的な義務ではありません。
しかし、企業が自主的にこの役割を設けることで複数のメリットが考えられます。
社用車を適切に管理することで、企業の信頼性向上、コスト削減、そして従業員の安全確保につながるでしょう。
企業全体での安全意識向上
車両管理責任者を選任することで、社用車の管理体制を明確にできます。
担当者が中心となり、車両の日常点検や定期的な整備を計画的かつ確実に実行することで、車両の不具合による事故を未然に防げるでしょう。
また、従業員の運転状況を継続的に把握し、ヒヤリハット事例や事故につながりかねない危険運転を特定することで、具体的な安全指導も可能になります。これにより企業全体での交通安全意識が高まり、より安全な職場環境の構築に貢献するでしょう。
リスク回避によるコスト低減
車両管理責任者が車両の点検・整備状況や運転者の運行記録を一元管理することで、無駄な燃料消費や車両の老朽化を早期に発見できます。これにより、修理費の増大や燃費の悪化を防ぎ、維持コストの削減につながるでしょう。
また、万が一の事故発生時には、適切な管理体制が整っていることが企業としての社会的責任を果たす上で重要となります。事故による賠償リスクや企業イメージの低下を防ぐことにも役立つと考えられます。
従業員の安全運転促進
車両管理責任者が従業員一人ひとりの運転状況を把握することで、個別の安全運転指導を実施できます。
運転日誌や車両管理システムを活用して、急ブレーキや速度超過などの危険な運転行動を可視化し、具体的な改善点をフィードバックすることで、従業員の運転技術と安全意識の向上を促せるでしょう。
定期的な安全運転講習の実施や、安全運転マニュアルの作成を通じて、従業員が自主的に安全運転を心がける文化を育むことも可能になり、従業員の命を守ることにつながります。
車両管理責任者の主な業務内容
車両管理責任者の業務は、主に「車両」と「運転者」の両面から、社用車の安全な利用と効率的な管理を実施することです。
車両の管理
運転者に対して車両の使用許可を出し、私的利用を防ぎます。
また、車両管理台帳の作成・更新に取り組むことで、車両の登録・リース情報や、点検・整備記録情報などを一元管理します。
加えて、法定点検や日常点検・整備を確実に実施し、車両を常に安全な状態に保つことも車両管理責任者の役割の一部です。
コスト管理
燃料費、保険料、税金、メンテナンス費用など、車両にかかるコストを把握し、削減策の検討を実施します。
運転者の管理・指導
運転日報やアルコールチェックの結果を記録・管理し、運行状況を把握します。
また、社内での安全運転講習や研修を実施し、従業員の安全意識向上を後押ししたり、社用車利用に関するルール(私的利用の禁止、運転者の限定など)を定め、周知徹底することも役割の一つです。
なお、安全運転管理者が選任されている企業では、運転者の指導は安全運転管理者が実施します。その場合に車両責任管理者は、安全運転管理者が適切に業務を行っているかどうかをチェックする役割を担うこととなります。
車両管理責任者が直面しやすい課題
前述の通り、車両管理責任者の業務は広範囲に及ぶため、他業務と兼任している場合には、その負担は大きくなると想定されるでしょう。
業務効率化と適切なコスト管理の難しさ
紙の台帳などアナログな管理方法が、業務の効率を妨げる大きな要因になります。紙の書類やExcelでの管理は、入力や転記に手間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも伴います。
例えば、車両の点検記録や運行日誌の集計に時間がかかり、本来の業務に手が回らないケースもあるでしょう。
また、正確なデータに基づいたコスト分析が難しく、燃料費やメンテナンス費用といった車両関連のコスト削減が進まないことも課題となりやすいです。
法令など最新情報のキャッチアップと管理徹底の難しさ
近年、飲酒運転の罰則強化や、アルコール検知器を用いた運転前後でのアルコールチェック実施義務化など、社用車を巡る法令は厳格化されているといえます。車両管理責任者には、これらの法律を正確に理解し、企業全体で法令遵守を徹底する役割が求められています。
しかし、企業規模が大きくなればなるほど、運転者一人ひとりのアルコールチェックを毎日記録・確認したり、運行日報を抜け漏れなく管理したりするのは容易ではないでしょう。
また、万が一、従業員が事故や違反を起こした場合に、企業の管理体制が不十分だと判断されると、社会的信用の失墜や多額の賠償責任を負うリスクも懸念されます。
事故防止に向けて管理体制を運用する難しさ
事故を未然に防ぐためには、単にルールを設けるだけでなく、運転者の安全意識を高める必要があります。
しかし、多忙な車両管理責任者にとって、個々の運転者の運転状況を詳細に把握し、具体的な指導を行うのは困難な場合もあるでしょう。
運転者の危険な運転行動(急ブレーキ、速度超過など)を客観的に把握する手段がなくては、効果的な教育ができず、結果として事故のリスクが解消されないまま放置されてしまう可能性も懸念されます。
車両管理責任者の業務をデジタルで一元化
ここまで解説してきた通り、車両管理責任者の業務は多岐にわたり、紙やExcelによるアナログな管理では、業務負担の増大や管理ミスのリスクが起きやすいと考えられます。
そのような中、近年の技術革新により、車両管理はデジタル化へと大きく進化しており、車両管理システムを導入することで、これまで手作業で行っていた多くの業務を自動化・効率化できると期待されます。
例えば、運転日誌や点検記録、アルコールチェックの結果などをシステム上で一元管理することが可能になり、担当者の事務作業は大幅に削減され、本来の業務に集中できるようになるでしょう。加えて、紙の紛失や入力ミスといったヒューマンエラーのリスクも低減されると想定できます。
また、車両管理システムによっては、車両の運行データをリアルタイムで把握できる場合も。車両の現在地、走行ルート、さらには急ブレーキや急加速といった運転行動を可視化できます。これらのデータを活用することで、無駄な燃料消費を抑えるエコドライブを促進したり、危険な運転傾向を持つドライバーを特定して個別の安全指導を行ったりすることが可能になるでしょう。
車両管理のデジタル化を進めることで、安全運転管理業務の質を根本から向上させられます。リアルタイムデータの分析により、事故リスクが高い運転行動を客観的に把握し、具体的な根拠に基づいた指導も可能に。万が一の事故発生時にも状況を正確に記録でき、迅速な対応や原因究明に役立つと期待できます。
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車両管理責任者に関してよくある質問
ここでは、車両管理責任者に関してよくある質問をご紹介します。
Q1. 車両管理責任者とは何ですか?
車両管理責任者とは、企業が所有する車両を安全に管理するために、企業が任意で選任する担当者のことです。法的な選任義務はないものの、車両の安全確保、コスト管理、そして事故防止のために、多くの企業でこの役割が設けられています。
車両管理責任者は、法律で定められた安全運転管理者や運行管理者とは異なる役割を持ちます。主な違いは以下の通りです。
車両管理責任者
- 選任は企業の任意で、法的な義務はない。
- 車両の点検・整備、車両台帳や保険の管理、燃料費などのコスト管理など、「車両そのものの管理」が主な業務。
安全運転管理者
- 自動車を一定台数以上使用する事業所において、道路交通法により選任が義務付けられている。
- 運転者の指導・教育、運転日報の確認・管理、アルコールチェックの実施など、「人」と「運行」の安全管理が主な業務。
運行管理者
- 運送事業者(緑ナンバーの車両を使用)で、貨物自動車運送事業法等により選任が義務付けられている。
- 事業用自動車の運行計画の作成や乗務員の勤怠・健康管理などが主な業務。
Q2. 車両管理責任者に必要な資格は何ですか?
車両管理責任者になるために、法律で定められた特定の資格は必要ありません。
しかし、企業の車両管理業務を適切に遂行するためには、交通安全や車両整備に関する知識が求められます。
そのため多くの企業では、車両管理の実務経験がある従業員や、交通安全に関する講習を受けたことがある従業員が選任されることが多いと考えられます。
業務効率化で正確な車両管理につなげよう
本記事では、車両管理責任者の役割や重要性から、その業務内容詳細、そして担当者が直面しやすい課題などについて詳しく解説しました。
車両管理責任者に関して法的な選任義務はないものの、飲酒運転に関する罰則強化や企業のコンプライアンス意識の高まりを受け、社用車を巡る管理体制の重要性は増しているといえます。車両管理責任者を明確に定めることは、事故防止はもちろん、企業の社会的責任を果たす上で不可欠な取り組みとなるでしょう。
車両管理責任者と、法的に選任義務のある安全運転管理者や運行管理者は、それぞれ異なる役割を担っているため、互いに連携することで、より網羅的な安全管理体制を構築できると考えられます。
しかし、紙やExcelによるアナログな管理は、業務の非効率化を招き、入力ミスや情報共有の遅れといったリスクを生むため、多忙な担当者の負担を軽減し、より正確な車両管理を行うために業務効率化が不可欠です。
そこで有効なのが、車両管理のデジタル化です。運行記録やアルコールチェック、点検記録などをシステム上で一元管理することで、事務作業は大幅に削減され、担当者は本来の業務に集中できるでしょう。
車両管理責任者が抱える課題を解決し、企業の安全と効率を両立させたいとお考えの場合には、セイコーソリューションズ株式会社の「Mobility+」をぜひご検討ください。「Mobility+」は、煩雑なアナログ管理から解放し、法令遵守をサポートいたします。また、リアルタイムな車両データ取得は、コスト削減や事故防止にも貢献します。ぜひこの機会に、「Mobility+」についてチェックいただき、安全で効率的な車両管理について改めてご検討ください。
参考:
安全運転管理者制度の概要|国土交通省
運行管理者について - 事業用自動車の安全対策|国土交通省
自動車運送事業の運行管理者になるには | 国土交通省
みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁Webサイト
安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁Webサイト

