アルコールチェックの正しい数値基準|酒気帯び(酒酔い)運転の罰則は管理者・同乗者も対象

「従業員のアルコールチェックで何mg/L以上が出たら、運転させてはいけないのか?」
2023年からのアルコールチェック義務化により、安全運転管理者の皆様は、この「数値」に対する責任と不安を強く感じているのではないでしょうか。
飲酒運転の罰則は運転手本人だけでなく、車両を提供した管理者や同乗者にまで及びます。飲酒運転を防ぐためには、法律で定められた具体的な数値基準を正確に理解し、確実な管理体制を築くことが不可欠です。
そこで本記事では、飲酒運転の基準となるアルコール濃度の数値を明確に解説するとともに、基準値を超えた場合に企業が負う責任と罰則、そして正確な数値管理を実現する具体的な方法を解説します。
【0.15mg/Lが基準値】飲酒運転をめぐる法律上の「数値」の基礎
飲酒運転には、大きく分けて「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つの区分があります。まずは、それぞれの数値基準の違いについてを詳しく見ていきましょう。
酒気帯び運転
酒気帯び運転の基準数値は、以下の通りです。
- 呼気中アルコール濃度0.15mg/L以上
- 血中アルコール濃度0.3mg/mL以上
上記いずれかの基準に当てはまり、身体にアルコールが残った状態で運転することを酒気帯び運転と言います。呼気中濃度に応じて罰則が変わるため、注意が必要です。
酒酔い運転
酒酔い運転は、アルコール濃度の数値にかかわらず、正常な運転ができないと判断される状態です。濃度数値よりも、酩酊状態であるかどうかの判断が優先されます。
酒気帯び運転よりも酒酔い運転の方が数値が高い状態とされ、罰則も重くなります。
参考:
道路交通法 第65条
アルコールチェックによる数値確認は2023年から義務化
飲酒運転による痛ましい事故の根絶を目指し、安全運転管理者のいる事業所は、アルコール検知器を用いた「数値」の確認が義務付けられています。
アルコール検知器を用いた数値確認の義務
「数値」を正確に測るためには、国家公安委員会が定める基準を満たした検知器の導入が不可欠です。検知器の準備や正確な使用方法が、義務化の第一歩となります。
法律に則り、必ず正しい方法でアルコールチェックを行いましょう。
企業が守るべき数値の記録と保存義務
アルコールチェックを実施した後は、その具体的な「数値」を含む結果を正確に記録し、保存する義務があります。
記録すべき項目は以下の通りです。
- 検査を実施した日時
- 運転者名
- 酒気帯びの有無と具体的な数値(検知器の結果)
- 車両番号
- 検査を行った管理者名
- その他、必要な措置(運転見合わせの指示など)
さらに、上記の記録は1年間の保存が義務付けられています。紙やExcelでは紛失や改ざんのリスクがあるため、車両管理システムなどによる管理がおすすめです。
参考:
道路交通法施行規則 第九条
正しい数値を出すためのアルコールチェックの方法
正確な「数値」は、正しい手順で測定しなければ意味がありません。管理者は以下の手順と注意点を徹底し、測定結果の信頼性を担保する必要があります。
ここでは、正しい数値を出すためのアルコールチェックの手順や注意点を解説します。
アルコールチェックの手順
アルコールチェックを行う際には、以下の手順で行います。
- 機器の準備と確認を行う
- 測定を実施する
- 数値の確認と記録を行う
- 0.00mg/Lであれば運転を許可する
- 0.00mg/L以外であれば再測定をする
- 管理者による目視確認をする
まずは、使用前に検知器が正常に動作すること、そして電源が入っていることを確認しましょう。それから、検知器が前回使用時や保管中にアルコールを検知していないか、「ゼロ(0.00mg/L)」になっているかを確認したら、測定を実施します。
運転者は検知器に息を吹き込む前に、口の中に飲食物やタバコなどが残っていないことを確認してください。検知器の指示に従い、測定時間の間は息を強く長く、途切れさせずに吹き込みましょう。
運転者が検知器に息を吹き込んだら、表示された具体的な数値を運転者と管理者で確認し、記録します。
0.00mg/L以外の数値が出た場合は再測定し、それでも0.00mg/L以外の数字が出るときは直ちに運転を中止させてください。アルコールチェックは検知器だけでなく、管理者による顔色・声のトーン・目の充血・呼気の匂いなどの確認も必須です。
アルコールチェック時の注意点
アルコールチェックの際は、以下の点に注意しましょう。
- 測定前にうがい薬などは使わない
- アルコール検知器はメンテナンスを徹底する
- 前日の飲酒に注意する
うがい薬や清涼菓子、ノンアルコール飲料などには微量のアルコールが含まれていることがあり、測定で誤検知される可能性があるため、測定の10分前には飲食を控えましょう。
また、アルコール検知器は精密機器であるため、メーカーが推奨する頻度で定期的な校正・交換を行い、常に正確な数値を計測できる状態を維持することが重要です。当日だけでなく、前日の飲酒量にも注意しましょう。
【数値別】基準値を超えた場合の運転手の罰則
飲酒運転は、その状態によって「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つに区分され、それぞれ異なる数値基準と罰則が適用されます。
酒気帯び運転(0.15mg/L以上 0.25mg/L未満)
酒気帯び運転の罰則(0.15mg/L以上 0.25mg/L未満)は、以下の通りです。
- 懲役3年以下または罰金50万円以下
- 免許停止90日、違反点数13点
酒気帯び運転は、身体にアルコールが残った状態で運転することです。呼気中のアルコール濃度に応じて、罰則が変わります。
酒気帯び運転は、呼気中アルコール濃度が0.15mg/L以上であるかどうかが判断の鍵となりますが、これは行政処分の基準です。企業における運転許可の基準は、「0.00mg/L」でなければなりません。
酒気帯び運転(0.25mg/L以上)
酒気帯び運転(0.25mg/L以上)の罰則は、以下の通りです。
- 懲役3年以下または罰金50万円以下
- 免許取消し(欠格期間2年)、違反点数25点
免許取り消しの「欠格期間」とは、運転免許の取消し処分を受けたものが再取得することができない期間を指します。免許取り消しとなった上、2年以上経過しなければ再取得ができないなど、非常に重い罰則が科されます。
酒酔い運転
酒酔い運転の罰則は、以下の通りです。
- 懲役5年以下または罰金100万円以下
- 免許取消し(欠格期間3年)、違反点数35点
酒酔い運転と判断された場合、酒気帯びよりもさらに重い罰則が課されます。免許取り消しに加えて、懲役や罰金刑が課されるので注意しましょう。
参考:
道路交通法 117条
基準値を超えた場合の運転手以外の罰則
飲酒運転は、一発で免許取消しとなり得る非常に重い罰則が科されますが、これは運転者本人だけではありません。ここでは、運転手以外の罰則を紹介します。
車両提供者の罰則
車両提供者の罰則は、以下の通りです。
- 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
- 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
車両の管理者や企業は、「飲酒運転であると知りながら」車両を提供した場合、運転者とほぼ同等、またはそれ以上の重い罰則を受ける可能性があります。
酒類の提供者・車両の同乗者
酒類の提供者や車両の同乗者の罰則は、以下の通りです。
- 酒気帯び運転の場合:2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金
- 酒酔い運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
運転者が飲酒していることを知りながら酒類を提供したり、同乗したりした場合も罰則の対象となり、企業は「飲酒運転を黙認した同乗者」への指導責任も負うことになります。
参考:
道路交通法 117条
基準値を超えた場合の会社の処分
飲酒運転は刑事罰や罰金だけでなく、行政処分や民事責任、そして社会的信用の失墜という形で企業に壊滅的な打撃を与えます。主な処分は、以下の通りです。
- 一定期間の自動車等の使用停止処分や事業停止処分
- 社会的信用の失墜と企業ブランドの崩壊
- 法的な責任と重い罰則・処分
- 被害者への莫大な損害賠償責任
一定期間、自動車の使用停止や事業停止処分が下ることにより、売上に大きな損失が出る可能性も十分に考えられます。その他、顧客や取引先からの信頼がなくなり、取引ができなくなるなど大きな影響が出るケースも多々あり、注意が必要です。
飲酒運転によって事故を起こしている場合は、被害者への損害賠償責任なども発生します。
参考:国土交通省
基準値以上の数値が出た場合の具体的な対応フロー
万が一、アルコールチェックで基準値以上の数値が検出された場合、管理者は冷静かつ速やかに以下の措置を講じる必要があります。
- 運転中止の指示
- 代替手段の確保
- 経過観察と再検査
- 記録と報告
- 懲戒規定の適用
アルコールチェックの結果が0.00mg/Lでない場合は、直ちに運転を中止させ、代替手段の確保をしましょう。例えば、代替運転手を立てたり、公共交通機関を利用させたりといった対応を行います。
続いて、アルコールが抜けるまで時間をおき、管理者が数値を再検査してください。その後、数値や指示内容、再検査結果を詳細に記録して責任者に報告します。アルコールチェックに引っかかった従業員に対しては就業規則に基づき、処分を検討・実施しましょう。
飲酒運転を再発させないために会社ができる対応
飲酒運転の事実が発覚した場合、懲戒処分を下すだけでなく、再発を絶対に防ぐための継続的なフォローアップと管理体制の強化が会社の責務となります。
社員教育・フォローを徹底する
飲酒運転の背景にアルコール依存や精神的な問題が潜んでいる可能性があるため、産業医や専門のカウンセラー、医療機関と連携した継続的なカウンセリングの機会を提供します。
再発防止が確認できるまで運転業務から完全に外し、内勤や間接的な業務に専念させることも大切です。これは、本人の自覚を促すだけでなく、周囲の信頼回復にもつながります。
また、飲酒運転による社会的・経済的影響を深く理解させるための特別研修を、対象者だけでなく全従業員に対して定期的に実施しましょう。
飲酒運転に関する規則を設ける
飲酒運転やアルコールチェックの拒否に対する懲戒規定を就業規則に明確に記載し、全従業員に周知徹底しましょう。業務時間外であっても、翌日の運転に影響を及ぼす可能性のある飲酒については、管理者に報告するルールを策定・徹底させることが重要です。
また、基準値(0.15mg/L)以下であっても、アルコールが検出された場合の運転禁止を会社の絶対ルールとして定めてください。
チェック体制の強化とデジタル管理の徹底
アルコールチェックの結果を検知器による数値だけでなく、管理者の目視による確認も徹底させましょう。顔色や呼気に異常がある場合は、ただちに運転をやめさせます。
業務時間や場所に関わらず、不定期かつ抜き打ちでアルコールチェックを実施できる体制を構築し、常に緊張感を持たせることも重要です。車両管理システムなどを活用すれば、アルコールチェックの数値記録を自動化し、不正ができない仕組みで再発リスクを物理的に遮断できます。
正確な「数値」管理には車両管理システムが不可欠
正確なアルコール数値を確実に記録・保存し、アルコールチェック漏れを極限まで軽減させるためには、車両管理システムの導入が不可欠です。
車両管理システムとは
車両情報やドライバー情報、運行記録や点検記録などを一元管理するシステムです。従来の紙やExcelでの管理で課題だった漏れ、手間などを削減できます。
チェック漏れを最小限に抑えることで飲酒運転を予防でき、従業員に安全な業務を行わせることができる点が特徴です。
車両管理システムのメリット
車両管理システムを導入すると得られる主なメリットを紹介します。
アルコール検知器との「数値」連携による自動記録
指定のアルコール検知器とシステムを連携させることで、測定した具体的な数値(mg/L)が自動でシステムに記録されます。
運転者による数値の申告ミスや虚偽申告を完全に排除し、記録の信頼性を担保できるのが大きなメリットです。
数値記録の一元管理と監査対応
検査日時や運転者名、車両、そして具体的な数値をすべてクラウド上で一元管理できるのも大きな魅力です。
法令で定められた1年間の記録保存を自動で行い、必要な時に特定の数値データを瞬時に検索・提示できるため、管理者の工数が大幅に削減され、監査対応もスムーズになります。
車両管理システムなら「Mobility+」がおすすめ
車両管理システムの中でもおすすめなのが、「Mobility+」です。
ここでは、「Mobility+」の主な特徴やおすすめポイントを解説します。
検知器連携で数値管理の信頼性を担保
「Mobility+」は、指定のアルコール検知器とシームレスに連携可能です。測定された呼気中のアルコール数値が、運転者による操作を介さず、自動でシステムに送信・記録されます。
そのため、数値の手入力ミスや虚偽申告といった人為的なリスクを完全に排除し、記録の信頼性を高められるのが特徴です。
物理的に飲酒運転を防ぐエンジン始動との連携
「Mobility+」はエンジン始動と連動していて、チェック前やアルコール検知時はエンジンロックが解除されない仕組みです。アルコールチェックをクリアしない限り、エンジンロックが解除されないため、飲酒運転を効率よく防げます。
そのため、管理者が見ていない場所や直行直帰時であっても、数値をキーにした厳格な飲酒運転防止体制を確立可能です。
管理者の負担を劇的に軽減する一元管理
手書きやExcelでの管理で最も負担となる「記録の保存」も、「Mobility+」が一括して行います。全検査日時や運転者名、車両、具体的な数値や措置内容など、法令で定められた必須項目をすべてクラウド上で一元的に管理し、1年間の保存義務を自動で遂行可能です。
必要な記録を検索機能ですぐに取り出せるため、監査や行政指導の際に迅速かつ正確に対応でき、管理者の工数を劇的に削減します。
正確な「数値」管理で企業のコンプライアンスを確立しよう
飲酒運転防止は、「数値」という客観的なデータに基づいて確実に行わなければなりません。法律が求める基準値と記録義務を正しく理解し、それに対応できる体制を築くことが、安全運転管理者、そして企業の責務です。
車両管理システム「Mobility+」を導入し、アルコールチェックの「数値」を自動で、正確に、そして確実に管理することで、企業の安全と信頼を守りましょう。

