「もしも、従業員が飲酒運転で事故を引き起こしたら?」

社用車を保有し車両管理を担当する方にとって、企業の信用失墜などコンプライアンスリスクは大きな懸念事項でしょう。

特に、安全運転管理者などによるアルコール検知器を用いたアルコールチェックが義務化された今、「うちの会社の管理体制は、法令を遵守できているのか?」と不安を感じているご担当者も多くいらっしゃるのではないかと思います。

そこで本記事では、飲酒運転の発覚時に会社が負う法的な管理責任について詳しく解説します。

さらに、アルコール検知器を用いたアルコールチェック義務化に対応し、不正を許さず飲酒運転リスクを徹底的に防止する具体的な解決策も紹介します。ぜひ最後までお読みください。

従業員の飲酒運転事故、会社への報告義務は?車両を保有する企業が飲酒運転を徹底防止するには

「もしも、従業員が飲酒運転で事故を引き起こしたら?」

社用車を保有し車両管理を担当する方にとって、企業の信用失墜などコンプライアンスリスクは大きな懸念事項でしょう。

特に、安全運転管理者などによるアルコール検知器を用いたアルコールチェックが義務化された今、「うちの会社の管理体制は、法令を遵守できているのか?」と不安を感じているご担当者も多くいらっしゃるのではないかと思います。

そこで本記事では、飲酒運転の発覚時に会社が負う法的な管理責任について詳しく解説します。

さらに、アルコール検知器を用いたアルコールチェック義務化に対応し、不正を許さず飲酒運転リスクを徹底的に防止する具体的な解決策も紹介します。ぜひ最後までお読みください。

飲酒運転が企業にもたらす深刻なコンプライアンスリスク

飲酒運転は、企業活動に深刻なコンプライアンスリスクをもたらします。ここでは、運転者への罰則、そして企業活動への影響について解説します。

酒気帯び・酒酔いの法的定義と運転者への罰則

次の表は、酒気帯び・酒酔い運転を引き起こした場合の運転者に対する罰則についてまとめたものです。

項目 酒気帯び運転 酒酔い運転
定義 呼気中アルコール濃度が基準値
(0.15mg/L)以上の場合
アルコールの影響により、
正常な運転ができないおそれがある状態
懲役 3年以下の懲役 5年以下の懲役
罰金 50万円以下の罰金 100万円以下の罰金
行政処分(運転免許) 呼気中アルコール濃度に応じて異なる行政処分が下される。
・0.15mg/L 以上 0.25mg/L 未満:免許停止(90日間)
・25mg/L 以上:免許取消(欠格期間3年)
免許取消
(欠格期間5年)

参考:
飲酒運転の罰則等 警視庁

上の表にある通り、酒気帯び運転または酒酔い運転は、運転免許の停止・取消に加え、罰金刑または懲役刑が科されます。

飲酒運転事故が企業に与える社会的・経済的影響

飲酒運転事故を引き起こしてしまった場合に、運転者の勤務先である企業に与える社会的・経済的影響はどれくらいあるのでしょうか。

ある飲酒運転事故について、裁判で下された判決の例を見ていきましょう。

1999年、飲酒運転のトラックが高速道路で普通乗用車に追突。相手方は大破・炎上に至り、同乗の幼児2名が焼死、男性1名が大怪我を負いました。裁判では、運転手だけでなく勤務先の会社に対しても損害賠償命令が下り、判決でその賠償額は2億5千万円とされました。

この事例からわかるように、飲酒運転により事故を引き起こすと運転者だけではなく、業務上運転をさせていた企業も社会的非難を受けることとなり、行政処分や賠償、取引先からの信頼失墜、株価への影響、業務停止による売上減など深刻な影響が考えられます。

飲酒運転事故が発生した場合、会社への報告義務の重要性

ここからは、企業が飲酒運転事故を防止するために、どのような体制を整えればよいのか具体的なポイントを紹介していきます。

そもそも、従業員が飲酒運転を引き起こしてしまった場合に、勤務先の会社への報告は義務付けられているのでしょうか。会社が負う責任や義務についても解説するので、参考にしてください。

法的な「報告義務」の有無および会社としての連絡体制

従業員自身に、会社へ飲酒運転を報告する直接的な法令上の義務はありません。

しかし、社内規定(就業規則)で、交通事故や法令違反に関する会社への速やかな報告義務を設けている場合には、義務違反が懲戒事由となり得ます。

そのため、企業は業務中・業務外を問わず、危機管理体制として飲酒運転の禁止や飲酒運転発覚時の報告・連絡義務を定め、報告ルートを確立しておくことが必要です。

従業員が飲酒運転事故の報告を怠った場合の、企業側のリスク

従業員が飲酒運転事故の報告を怠った場合の、企業にとってのリスクを見ていきましょう。

まず、報告の遅延や隠蔽が、企業のコンプライアンス体制の不備として批判されるリスクがあります。

企業が飲酒運転の事実を知らなかったとしても、世間からは「管理責任」を問われることとなり、業務中か否かにかかわらず、企業が車両の運行を支配・管理している場合、運行供用者責任(民法第715条、自動車損害賠償保障法第3条)を負います。

運行供用者責任とは、自動車の所有者や、車の使い方を管理して利益を得ている人(運行供用者)が、その車の事故(人身事故に限る)で他人に損害を与えた場合、運転者でなくても損害賠償の責任を負う、という仕組みです。

また、「使用者責任(民法第715条)」も問われることとなり、ここでは「業務関連性」の有無が争点となります。使用者責任は、従業員が業務中に他人に損害を与えた場合、その雇い主も一緒に損害賠償の責任を負う仕組みです。

参考:
民法 | e-Gov 法令検索
自動車損害賠償保障法 | e-Gov 法令検索

会社が負う運行供用者責任と安全配慮義務の範囲

前出の運行供用者責任に関して、会社が負う責任の範囲はどうなるのでしょうか。

この場合、企業は車両管理責任者として、運転者への注意喚起、教育、チェック体制の構築といった安全配慮義務(労働契約法第5条)を怠ったと判断されるリスクがあります。

また、万が一飲酒運転の事実を知りながら黙認した場合には、「幇助罪」に問われる可能性もあります。これは道路交通法で、運転者以外の周囲(車両提供者や、同乗者)の責任についての処罰が定められているためです。

参考:
労働契約法 | e-Gov 法令検索
飲酒運転の罰則等 警視庁

飲酒運転防止は企業の義務 アルコールチェック体制の強化ポイント

飲酒運転に対する罰則が強化されている今、飲酒運転防止は企業の義務だといえます。

ここからは、運転前後のアルコール検知器を用いたアルコールチェック体制を整備するポイントについてあらためて見てみましょう。

「いつから」変わった? 義務化されたアルコールチェックのルール

道路交通法施行規則の改正により、安全運転管理者などによるアルコールチェックが義務化されています。

2022年4月1日から施行、その後さらに、2023年12月1日より安全運転管理者などがアルコール検知器を用いて運転前後にアルコールチェックを実施することが義務化されました。

車両保有台数によって、「安全運転管理者」の選任義務が生じます。乗車定員が11人以上の自動車1台、その他の自動車5台以上。 自動二輪車(原動機付自転車を除く)は1台を0.5台として計算します。

参考:
安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁Webサイト
安全運転管理者の選任 | 安全運転管理者制度 | 千葉県警察

アルコールチェック担当者が押さえるべき記録・管理・保存の具体的手順

アルコール検知器を用いたアルコールチェックの実施時、具体的には以下のような項目を記録して管理・保存しておく義務があります。

  • 確認者氏名(原則として安全運転管理者または副安全運転管理者)
  • 運転者氏名
  • 自動車のナンバーなど
  • 確認の日時
  • 確認の方法(対面でない場合は具体的確認方法)
  • 酒気帯びの有無(アルコール検知器で示された結果・数値など)
  • 指示事項(酒気帯び有りの場合などに、どのような措置を取ったのかを記録する) など

参考:
自動車運送事業におけるアルコール検知器の使用について|国土交通省
アルコール検査記録簿(モデル様式)|国土交通省
運転日誌・アルコール検査確認結果記録表(記載例)|千葉県安全運転管理協会

チェック記録は1年間の保存義務があります。そのため、紙の台帳で管理するよりも、記録をデジタル化して一元管理すると効率的でしょう。後から記録を検索するなど遡りやすい、管理しやすいといったメリットがあります。

従業員の飲酒運転発覚時の具体的な対応と会社の責任

ここからは、万が一にも飲酒運転が発覚した場合に備えて、企業として取るべき対応について見てみましょう。

社内規定(就業規則)による飲酒運転の罰則・処分規定

飲酒運転に関する処分規定は、就業規則においてあらかじめ明確に定めておく必要があります。
処分規定を定めておくことで、飲酒運転が生じた場合に従業員に対する罰則の根拠となり得るからです。

その際、飲酒運転は「服務規律違反」の中でも特に重い処分(懲戒解雇など)の対象となり得るでしょう。

酒気帯び運転に対する会社側からの処分の判断基準

処分の重さは、飲酒運転の程度(酒気帯びまたは酒酔い)、運転時間、走行距離、事故の有無、業務への影響、過去の違反歴などを総合的に考慮して決定する必要があるでしょう。

そして、懲戒解雇は、労働契約法のもと「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」を必要とするため、慎重に判断することが重要です。

参考:
労働契約の終了に関するルール|厚生労働省

コンプライアンスリスクを低減!実効性のある飲酒運転防止策の導入

紙やExcelでのアルコールチェック結果の管理は、改ざん・不正のリスクや、集計の負担が大きい側面があります。

そこで、記録事項をデジタルデータにして自動で一元管理・保存できる体制を築くことがおすすめです。

具体的には、車両管理システムを導入して「アルコールインターロック」機能搭載の製品を選ぶことで不正防止、飲酒運転徹底防止につながります。アルコールインターロック機能があることで、アルコールチェック結果をデジタル管理して管理者の負担を低減するだけでなく、「飲んだらエンジンが始動しない」という制御が可能になるのです。

なお、セイコーソリューションズ株式会社の車両管理システム「Mobility+」はアルコールインターロック機能を搭載しています。チェック結果の自動記録・クラウド保存により、管理業務が大幅に効率化され、車両管理担当者の負担軽減に貢献します。記録の法令遵守(1年間の保存義務)を合理的にペーパーレスで達成できる点もポイントです。

従業員の飲酒運転に関してよくある質問

従業員の飲酒運転に関してよくある質問をまとめてご紹介します。

Q1.従業員の飲酒運転が発覚した場合に課せられる罰則は?

従業員の飲酒運転が発覚した場合、罰則や処分は主に「運転者個人に対するもの」と「会社に対するもの」の二重に課せられることになります。

(1) 運転者個人に対する罰則(法令上の罰則)

飲酒運転の形態(酒酔い・酒気帯び)に応じて、道路交通法に基づき以下の刑事罰(罰金または懲役)と行政処分が課せられます。

  • 刑事罰: 5年以下の懲役または100万円以下の罰金(酒酔い運転の場合)
  • 行政処分: 運転免許の取消または停止(酒酔い運転は原則免許取消し、欠格期間5年)

参考:
飲酒運転の罰則等 警視庁

(2) 運転者個人に対する処分(会社による処分)

飲酒運転は就業規則に定める懲戒事由の中で最も重い違反の一つであり、懲戒解雇の対象となり得ます。

処分の判断は、飲酒の程度、事故の有無、業務への影響、過去の違反歴などを総合的に考慮して決定することが重要です。

参考:
労契法 15 条(懲戒)、16 条(解雇)の両規制が適用

(3) 会社(企業)に対する罰則・責任

会社は、管理責任や連帯責任が問われる可能性があります。

  • 運行供用者責任・使用者責任: 事故を起こした場合、企業は自動車損害賠償保障法や民法に基づき、被害者への損害賠償責任を問われる可能性があります。
  • 社会的な制裁: 法的な罰則ではありませんが、企業の信用失墜、取引停止、入札資格の停止など、経済的なダメージが事業運営に深刻な影響を及ぼします。
  • 安全運転管理者義務違反: アルコールチェック義務化の法令遵守を怠っていた場合、安全運転管理者や事業者が罰則の対象となる場合があります。

参考:
自動車損害賠償保障法 | e-Gov 法令検索
民法 | e-Gov 法令検索
道路交通法施行規則 | e-Gov 法令検索

Q2.酒気帯び運転が発覚した従業員の懲戒解雇は可能ですか?

可能性は高いものの、就業規則の規定と処分の相当性が重要です。

酒気帯び運転は、従業員が法令違反を犯し、企業の社会的信用を著しく損なう行為であり、企業秩序に対する重大な違反と見なされます。

ただし、懲戒解雇を行うためには、労働契約法に基づき以下の2つの重要要件を満たす必要がある点に十分注意しましょう。

  • 就業規則への明記: 飲酒運転を懲戒解雇の事由として就業規則に明確に規定している必要があります。
  • 処分の相当性: 解雇が「客観的に合理的な理由」を持ち、「社会通念上の相当性」があることが必要です。

飲酒運転は私的な行為であっても企業の信用に与える影響が甚大であるため、懲戒解雇が認められやすい傾向にあるといえますが、企業は慎重に判断する必要があるといえるでしょう。

飲んだらエンジンが始動しない車両管理システム「Mobility+」で飲酒運転を徹底防止しよう

従業員による飲酒運転は、企業存続を脅かす大きなリスクです。

そのため、アルコールチェック義務化への対応を万全にすることが、リスク回避の第一歩となります。

また、会社の就業規則には「飲酒運転を引き起こしてしまった場合には会社に報告義務がある
」と盛り込み、平素から従業員と合意しておくなど、リスクを徹底防止するための体制構築が求められています。

セイコーソリューションズ株式会社の「Mobility+」は、アルコールインターロック機能により物理的に飲酒運転を阻止し、煩雑な記録義務をITで効率化する車両管理システムです。アルコールチェック体制の整備をはじめ、車両管理業務の効率化を求めている企業様は、ぜひこの機会に「Mobility+」の導入をご検討ください。

参考:
飲酒運転の罰則等 警視庁
民法 | e-Gov 法令検索
自動車損害賠償保障法 | e-Gov 法令検索
安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁Webサイト
安全運転管理者の選任 | 安全運転管理者制度 | 千葉県警察
自動車運送事業におけるアルコール検知器の使用について|国土交通省
アルコール検査記録簿(モデル様式)|国土交通省
運転日誌・アルコール検査確認結果記録表(記載例)|千葉県安全運転管理協会
労働契約の終了に関するルール|厚生労働省
労働契約法 | e-Gov 法令検索
労契法 15 条(懲戒)、16 条(解雇)の両規制が適用
道路交通法施行規則 | e-Gov 法令検索