調達DXコラム− 経営に貢献する調達に向けて −

コラム第五回

高度化のための組織・機能配置

コラム第四回で見てきた通り、調達購買改革には、調達購買業務の効率化、オペレーティングモデルの再構築等、多面的な視点で取り組む必要があることがお分かりいただけたと思う。では、これらを円滑に進めるには、組織や機能はどのように配置されるべきか。ここでは調達購買機能を高度化するにあたり、日本企業が陥りがちな組織配置や機能権限を設定する上での3つの罠を紹介する。

遠心力を効かせた経営による調達領域の機能不全

1997年の独禁法改正以降、持ち株会社制をとる企業が増加した。また、近年はライフスタイルの変化や技術革新等で事業環境が多様化し、M&Aや分社化等からグループ会社が増加した。この際、本社が強権的な力を発揮する「求心力」を重視した経営ではなく、各子会社が自律的に迅速な意思決定を行うことで、競争力の向上を目指す「遠心力」を効かせた経営が重視されるようになった。
一方で、本来本社が担うべき機能や権限まで子会社に譲渡したことにより、調達購買の機能の弱体化、即ちガバナンスの低下や業務の非効率化を起こしている会社も少なくないと言える。

遠心力を効かせた経営による調達領域の機能不全

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求心力を高めた調達購買業務における3つの罠

ここからは調達購買機能高度化に向け、機能権限を設定する上での3つの罠について見ていく。

1. 「集約化の罠」

最も陥りやすいのが、調達品目の特性にかかわらず、一律に集中調達をしようとする集約化の罠である。これは本社の関与範囲を増やそうと機能や権限を本社に集約しようとするあまり、業務負荷がかかり、結果として本社の関与範囲が狭まる事象である。下記図表は、本社・子会社の関与形態を4つの型に分類しているものであり、左のものほど本社の関与度合や権限が大きくなっている。この左端に位置する「集中型」が最善の策なのではなく、品目特性に応じて、本社/子会社で持つ機能・運用を設計し、グループ全体で効果を最大化することが重要である。

遠心力を効かせた経営による調達領域の機能不全

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2. 「専門化・外部化の罠」

次は、調達購買業務を委託する際に、業務特性や要求部門との力関係を考慮せず、委託方法を設定したことにより、機能不全に陥るという罠である。機能子会社に委託する場合は、グループ全体の利益を優先した判断ができなくなるケースや、外部に丸投げすることで業務がブラックボックス化し、依存過多となるリスクも考えられる。企画統制機能は本社で持つなど委託範囲や方法を吟味することが重要である。

3. 「統制の罠」

最後は、調達のルールや指標を運用する際に、経営層や現場層の巻き込みが不十分で、協力や連携が取れなくなるという罠である。これにより、調達購買機能の効果が十分に発揮されず、組織全体の調達購買業務のレベルが低下する可能性がある。

これらの罠に陥らないためには、調達品目の特性に応じた本社の関与パターンや機能子会社を含めた機能権限の設定方法をバランスよく設計・運用すること、また、経営層や現場層の理解と協力を得ることで、三位一体となって推進することが肝要である。

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