調達DXコラム− 経営に貢献する調達に向けて −


コラム第七回
高度化のための調達データの活用
「データドリブン」ブームの落とし穴
データドリブンという言葉は、近年のビジネストレンドの一つとして、多くの企業で注目を集めている。しかし、その実態はどうだろうか。データを活用することで意思決定を行うという理念自体は魅力的だが、実際にはツールを導入しただけで満足してしまうケースが多い。調達データを可視化するツールがあっても、使いこなせず、本来の目的から外れてしまう企業が少なくない。データドリブンの本質は、データを基にした戦略的な意思決定にある。ツールを導入するだけでなく、それを活用し、意思決定に役立てるための体制が整っているかが成功の鍵となる。
データ前処理の重要性とテクノロジーの活用
データ分析には、必ず前処理が必要となる。このプロセスは、データの収集、整形、クレンジングといった作業を含むため、通常、手間がかかる。しかし、テクノロジーの進化により、これらの作業は効率化が可能だ。情報分析基盤を利用すれば、データの収集から可視化までを一貫して自動化できる。これにより、担当者はデータの前処理にかかる時間を大幅に短縮し、分析に集中できるようになる。つまり、データの前処理段階での効率化は、分析の質を高めるために不可欠な要素と言える。
【データ分析を開始する前の準備に時間がかかりすぎる - テクノロジーで効率化すべきプロセス】
データの前処理段階でよくある課題

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仮説ドリブンとデータドリブンを組み合わせることの威力
仮説ドリブンアプローチとデータドリブンアプローチは、一見対極にあるように思えるが、実際には補完関係にある。仮説を立て、それをデータで検証することで、より迅速かつ効果的な意思決定が可能となる。仮説ドリブンは、スピーディーに仮説を立てて検証し、必要に応じて修正を加えることで、精度を高める効果を持つ。一方、データドリブンは、客観的なデータに基づいて洞察を得るため、仮説の偏りを防ぐ役割を果たす。両者を組み合わせることで、調達組織はより包括的で信頼性の高い意思決定を行えるようになる。
【データドリブンと仮説ドリブンは補完関係にある】
データドリブンと仮説ドリブンの関係

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Quick Winで組織を動かす
データ利活用を組織に根付かせるためには、Quick Winを目指すことが重要だ。小さく始めて成功を積み重ねることで、関係者の理解と協力を得やすくなる。調達における具体的な課題を見つけ、データ分析から得られた洞察をもとに、迅速に成果を出すことが求められる。例えば、コスト削減が喫緊の課題であれば、その部門に焦点を当て、データ分析から明確な削減策を提案することで、組織内でのデータ利活用の理解が進む。このような小さな成功体験が、データドリブンの文化を広める鍵となる。
まとめ
調達データの活用は、単なるツールの導入にとどまらず、組織全体でのデータ利活用の文化を築くことが重要だ。データドリブンと仮説ドリブンの両アプローチを組み合わせ、Quick Winを通じて具体的な成果を出すことで、調達組織は経営に貢献する力を持つことができる。データ分析による洞察を活かし、戦略策定と実行をスムーズに行う環境作りが、調達の高度化を実現するための第一歩となる。
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