調達DXコラム− 経営に貢献する調達に向けて −


コラム第11回
サプライチェーン“Re”エンジニアリング ~サプライヤー階層の構造分析を起点としたサプライチェーンの最適化~
調達リスク管理の推移
これまでは、Tier1サプライヤーに対しての財務リスク、品質管理、BCP(Business Continuity Planning)対策がおこなわれてきた。
近年、地政学リスク、サイバーセキュリティ、サスティナビリティなど様々な対応が強く求められるようになり、調達リスク管理は複雑で多様になっている。
Tier2サプライヤー以下のサプライヤーによるインシデントがTier1サプライヤーの業務へ影響することはもちろん、大元の発注者側の責任が問われ信用問題につながるケースもある。
最新の調達リスク管理システム
リスクの多様化と対象の拡大に対応するにはシステムの導入が不可欠となる。 グローバルの調達管理システムでは、サプライヤー階層を構造的にとらえ、未然にリスクを検知する概念を基礎としている。製品によって差異はあるが、おおよそ下記のような機能をもつ。

<特徴>
- ・全リスクを一つのシステムで一元管理し、ダッシュボードでモニタリング
- ・Tier1サプライヤーだけでなく、末端のTier Nサプライヤーまでのサプライヤー階層を可視化
- ・Tier1からTier Nサプライヤーに対し、サプライヤーごとにリスクを定量的、定性的に評価
- ・リアルタイムにデータを更新
- ・機械学習可能なAIモデルを搭載
リスク対策を検討・実行していくうえでの改革すべきポイント
1. Tier1サプライヤー依存からの脱却
発注社側がTier1サプライヤーに対し、パワーバランスで負けているケース、Tier1サプライヤーがTier2サプライヤーにパワーバランスで負けているケースなど、Tier1サプライヤー任せでは解決できないことがある。
2. 開発購買の推進
調達部門が開発段階のDesign ReviewやFMEA(Failure Mode and Effects Analysis)などに参画する。図面・仕様・材料に対して、過去のトラブル経験から得た知見をもとにアドバイスする。
3. 品目横断施策の実行
検知したリスクが品目カテゴリー全体に及ぶ場合や、特定の国や地域に依存する場合、部品や商品単体で施策を進めていては、効果が限定的になってしまう。このような場合は品目横断で共通施策を進めることが効果的である。
事前対処による安定調達の実現に向けたサプライチェーンの最適化に向けたグローバルのトレンドと方法論を簡単に述べた。これからは「攻めの調達リスク管理」を徹底していくことが不可欠である。これらは調達部門であるからこそできる内容であり、実行することで社内の調達部門のプレゼンス向上や経営への貢献につながるだろう。
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