調達DXコラム− 経営に貢献する調達に向けて −


コラム第12回
調達変革 ~PX(Procurement Transformation)の実現に向けて~
コラム第一回から第十一回まで、調達高度化について、調達領域における陥りがちな課題を概観した上で、さらなる経営貢献の創出を目指した「調達の高度化」の考え方や進め方を紹介してきた。
調達部門は、定型業務をこなす単なるバックオフィス機能としてみなされる傾向が強く、業務効率化を要求されることが多い。しかし、実際には調達部門は企業価値向上に貢献する重要な機能を有するものである。そのため、調達機能を強化・進化・高度化させることが経営貢献・企業価値向上に有用であることはご理解いただけたことかと思う。
この調達高度化に関して、PwCコンサルティングの調達高度化チームでは、「調達の高度化」に取り組む一連のプログラムを「Procurement Transformation(調達変革)」と呼んでいる。最終回である今回は、「調達の高度化」に必要な要素やポイントを今一度整理し、Procurement Transformationを紹介することで、これまでの連載のまとめとしたい。
経営に貢献する調達変革 – PX: Procurement Transformationとは?
Procurement Transformationとは、変化し続けるビジネス環境における「調達機能の経営貢献の実現」に向けて、「調達コスト低減」や「安定調達」といった従前の課題対応のみならず、「売上拡大」、「イノベーション」、「ブランド価値向上」といった経営貢献を目指した調達変革のプログラムを指す。Procurement Transformationは、一過性の改善活動とは異なり、調達変革の推進効果の測定・仕組み化とともに、継続的な調達機能の高度化・経営貢献を目指す変革活動である。

調達変革 - PX: Procurement Transformationの進め方
「効率化」に資する調達変革は、主に現状の業務効率化に取り組むことになるため、目指す姿や目標が比較的明確に設定できる。しかし一方で、「高度化」に資する調達変革は、現時点で取り組むことができていない新たな業務に関する内容となるため、あるべき姿・目標の策定の難易度が高い。この「高度化」に資する調達変革について、思い付きや目先の問題をベースにあるべき姿や目標を設定すると、網羅性がなく、本来変革に必要なポイントが抜け落ちる可能性がある。これまで紹介してきた各種調達変革のフレームワークを活用し、まず取り組むべき領域を棚卸の上、包括的に戦略、業務、インフラを捉えたアプローチ、「構想策定・戦略立案」が重要となる。下記、進め方の一例を示す。

調達変革の実現に向けた調達領域への経営の関与の必要性
最後に、調達変革の実現に向けて経営の関与がなぜ必要かをまとめることで、本コラムの結びとする。
1. 調達部門と経営の対話による視点/視座の引き上げ
経営から調達への期待を明らかにしたうえで、調達が具体的な取り組みテーマ、期待効果、難易度、必要な支援などを検討し、経営と調達が双方向で対話することが肝要
2. 事業部門に対する統制・牽制
経営は、調達価値最大化のために事業部門ににらみを利かせることで、調達部門の提案に従うように統制・牽制する役割を担う必要がある
3. 「個別・部門最適」から「全社最適」の実現への昇華
経営が調達部門と事業部門の間に入り、仲裁・調整、場合によっては部門横断の課題解決に取り組むことで、各部門の利益ではなく、全社利益の最大化を目指した調達変革の推進が可能となる

なお、本連載(計十二回)ではお伝えしきれなかった内容は、PwCコンサルティングの調達高度化チーム執筆の書籍『経営のための「調達」見落とされてきた活用戦略』(中央経済社刊)で紹介している。ご興味を持たれた方は、ぜひお手に取っていただければと思う。
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