2023年12月以降、事業用車両を持つ企業に対するアルコール検知器を用いたアルコールチェックの義務化が施行され、チェック結果を紙やExcelで管理するのは対応が難しくなっています。

特に複数拠点や多くのドライバーを抱える企業では、法令順守と安全運転管理の効率化が急務です。

本記事では、クラウド型アルコールチェックサービスの特徴や導入メリット、選び方のポイントを解説。さらに主要サービスを比較し、企業規模や運用体制に合わせた最適なシステム選びをサポートします。

【2025年版】クラウド型アルコールチェックサービス比較10選|義務化対応におすすめの選び方

2023年12月以降、事業用車両を持つ企業に対するアルコール検知器を用いたアルコールチェックの義務化が施行され、チェック結果を紙やExcelで管理するのは対応が難しくなっています。

特に複数拠点や多くのドライバーを抱える企業では、法令順守と安全運転管理の効率化が急務です。

本記事では、クラウド型アルコールチェックサービスの特徴や導入メリット、選び方のポイントを解説。さらに主要サービスを比較し、企業規模や運用体制に合わせた最適なシステム選びをサポートします。

クラウド型アルコールチェックサービスとは

クラウド型アルコールチェックサービスとは、アルコール検知器とクラウドを連携し、チェック結果をオンラインで記録・管理できる仕組みのことです。

測定結果を自動入力してクラウドに保存でき、顔写真撮影によってチェック対象者のなりすましを防止できるなど、従来の紙やExcelによる管理と比較してチェック結果の管理業務を効率化でき、さらには不正防止もできるという特徴があります。

アルコールチェック義務化と管理業務の現状

2023年12月以降、事業用車両を持つ企業に対してアルコール検知器を用いたアルコールチェックの義務化が施行されました。その背景や、企業が理解しておきたいポイントについて解説します。

アルコールチェック義務化の内容と対象企業

事業用車両を持つ企業は2023年12月以降、社用車を運転する前にアルコール検知器による運転者のチェック(酒気帯びの有無のチェック)が必須となりました。

具体的には、「乗車定員11人以上の自動車を1台以上保有している」または「その他の自動車を5台以上保有している(原付を除く自動二輪は1台を0.5台として計算)」企業が対象です。また、アルコールチェックは安全運転管理者が実施するため、管理者の選任も必要です。チェック結果は、1年間保存する義務があります。

アルコールチェックが必要とされる背景

アルコールチェック義務化の背景には、飲酒運転事故の社会問題化と安全対策強化の流れがあります。

国土交通省は、事業者の安全運転管理について「法令遵守に関する知識のほか、運行の安全を確保するために、運行管理者が運転者に対して適切な指導・監督を行わなければならない」といった主旨の方針を掲げています。

参考:運転者に対する指導監督の概要|国土交通省

その中で、アルコールチェックは事業者が遵守すべき義務の一つです。違反した場合には、安全運転管理者の義務違反と見なされ、是正措置命令が出される可能性があるほか、なお改善が見られない場合には50万円以下の罰金が課されるおそれもあります。また、安全運転管理者を選任していない場合にも、罰金が課されます。

参考:
道路交通法 | e-Gov 法令検索
安全運転管理者制度/茨城県警察

もしもアルコールチェックを怠って酒気帯び運転が発覚した場合には、運転者が法で罰せられるだけでなく、車両を提供した企業の責任も問われることとなります。

参考:飲酒運転の罰則等 警視庁

よって、社用車を一定の台数以上所有している事業所ではアルコールチェックの体制を整え、効率化を図る取り組みが急務だといえます。

紙やExcel管理で発生する課題

アルコールチェック結果を紙やExcelで管理する場合の課題について考えてみましょう。

まず、拠点ごとに記録が散在し、本社での集約が難しくなります。また、手書きやExcel入力による記録ミスや改ざんリスクも想定されるほか、管理者の負担増と監査対応の遅れも考えられるでしょう。

クラウド型アルコールチェックサービスを導入するメリット

ここからは、クラウド型アルコールチェックサービスを導入するメリットについて紹介します。

データを一元管理して法令対応を徹底

拠点や車両ごとのデータをクラウド上に自動集約できるようになるため、本社からリアルタイムで状況を把握し、法令遵守を徹底できる点がメリットの一つです。

記録改ざん防止と監査対応の強化

アルコール検知結果は自動でクラウドに保存されるため、記録の改ざんや漏れを防止でき、監査や行政調査にも迅速に対応できる点も強みだといえます。

管理業務の効率化と担当者負担の軽減

自動記録やレポート生成機能で日々の入力・集計作業を軽減でき、管理担当者が安全運転指導やリスク管理に専念できるようになるでしょう。

クラウド型アルコールチェックサービスの主な機能と種類

クラウド型アルコールチェックサービスの主な機能や、種類について紹介します。

基本機能
  • アルコール検知結果の自動記録
  • 点呼管理
  • リアルタイム通知
  • データ分析

また、クラウド型アルコールチェックサービスにはさまざまな製品がありますが、大きく分けて以下の2種類に分かれます。

使用方法
  • アルコール検知器とクラウドがセットになっているタイプ
  • 既存のアルコール検知器と、専用のスマートフォンアプリを連携させて使用するタイプ

「アルコール検知器とクラウドがセットになっているタイプ」は、測定結果の自動保存までの流れがスムーズで、より効率的な運用が可能です。

また、「既存のアルコール検知器と、専用のスマートフォンアプリを連携させて使用するタイプ」も見られますが、測定結果をシステムへ手入力しなければならない場合もあります。
よって、車両保有台数が多い企業ほど、前者の「アルコール検知器とクラウドがセットになっているタイプ」を選ぶほうが管理の手間を低減できるでしょう。

クラウド型アルコールチェックサービスおすすめ10選

ここからは、クラウド型アルコールチェックサービスのおすすめ10選を比較して紹介します。

  種類 提供機能 料金体系 既存機器との連携可否 対応企業規模
スリーゼロ アルコールチェックサービス AI顔認証による本人確認、実施漏れ予防(車両予約と連動)、アラート通知、他システム連携 初期費用:
15,000円
月額費用:
300円〜(運転者1名あたり)
中小〜大企業
ALPiT アルコールチェックサービス 不正防止機能、測定忘れ防止機能、データ3年保存 初期費用:
不要
月額費用:
490円〜(運転者1名あたり)
中小
アルキラーNEX アルコールチェックサービス アラート通知、他システム連携、検知器シリアルNO.管理機能 要問合せ 不可 中小〜大企業
Mobility+ 車両管理システム アルコールインターロック、なりすまし防止 要問合せ 不可 中小〜大企業
Cariot 車両管理システム 測定結果の自動記録、送信、1年保存、証拠写真保存、アラート 初期費用:
0円
月額費用:
要問合せ(最低5台〜)
不可 中小〜大企業
C‑Portal 車両管理システム 測定結果自動保存、なりすまし防止、遠隔チェック、管理者への測定結果メール送信 5年間無料 中小
KITARO 車両管理システム 既存検知器連携、検知器画面の画像送信、遠隔立会 初期費用:
0円〜
月額費用:
3,360円〜/1台 など
中小
SmartDrive Fleet 車両管理システム 測定結果の自動入力、測定結果画面の取り込み、遠隔立会、アラート 初期費用:
要問合せ
月額費用:
要問合せ
中小〜大企業
LINKEETH 車両管理システム 測定結果の自動入力、なりすまし防止、データ1年保存 初期費用:
無料
管理者アカウント:
1ID無料、追加1ID550円
アプリ利用料:
1ID660円
不可 中小〜大企業
Bqey 車両管理システム 測定結果の自動入力、データ3年保存 初期費用:
不要
月額費用:
要問合せ
中小〜大企業

AI顔認証による本人確認で不正を防止「スリーゼロ」

スリーゼロは、130機種以上の検知器に対応、手持ちのアルコール検知器を活用してクラウド管理の実現が期待できるシステムです。

アルコールチェック実施時には、AI顔認証機能で本人確認を行って不正を防止。

また、契約プランによっては、もしもアルコールを検知した場合に社内チャットツールとシステム連携で管理者へアラートを送信できたり、アルコールチェック未実施者へ個別に通知を送ったりもできます。

項目 内容
料金 初期費用:15,000円
月額費用:300円〜(運転者1名あたり)
無料期間 デモ体験利用可
URL スリーゼロ

スマートフォン連携で容易にチェック・管理「ALPiT」

ALPiTは、専用のアルコール検知器を導入し、スマートフォンと連携させてアルコールチェックを行います。

運転者がスマートフォンでアプリを起動し、アルコール検知器に息を吹きかけると、測定結果が顔写真とともに自動でクラウドに保存されます。管理者は、パソコンの管理画面から測定結果をリアルタイムに一元管理でき、もしもアルコールを検知した場合には即時メールで通知を受け取れます。

項目 内容
料金 初期費用:不要
月額費用:490円〜(運転者1名あたり)
無料期間 あり(2週間)
URL ALPiT

アルコール検知器のシリアルナンバー管理もできる「アルキラーNEX」

アルキラーNEXは専用のアルコール検知器とスマートフォンを連携させてアルコールチェックを実施します。

管理画面側ではアルコール検知器のシリアルナンバー管理ができ、「いつ・どこで・誰が・どの検知器で」アルコールチェックを実施したのかまで明らかにできます。

また、アルキラーNEXと他のシステムを連携させて使用することも可能。もしもアルコール反応が出たら社内チャットツールで管理者に連絡したり、測定結果を運転日報に自動で反映したり、といった活用方法も考えられます。

項目 内容
料金 要問合せ
無料期間 あり(1週間)
URL アルキラーNEX

未チェックではエンジンが始動しない「Mobility+」

「Mobility+」は「アルコールインターロック」という機能を搭載しています。

アルコールインターロックとは、飲酒運転の徹底防止を実現できるシステムで、ドライバーがアルコールチェックを行わないとエンジンが始動しないように制御できます。

アルコールチェック結果とエンジン始動を連動することで、確実に飲酒運転を防止します。

項目 内容
料金 要問合せ
無料期間 なし
URL Mobility+

測定結果を自動記録、自動送信「Cariot」

Cariotは、専用のアルコール検知器とスマートフォンアプリを連携させて使用します。

測定結果は自動で記録して管理者へ自動送信もでき、データは1年間保存されます。

また、チェックの様子の証拠写真を残せたり、未チェックの場合にはドライバーにアラートを送信したりもできます。

項目 内容
料金 初期費用:0円
月額費用:要問合せ(最低5台〜)
無料期間 なし
URL Cariot

5年間システム利用料無料「C‑Portal」

C-Portalは、システム利用料が5年間無料のサービスです。

専用のアルコール検知器とスマートフォンアプリを接続することで、測定結果を自動でアップロードでき、システムで一元管理できます。なりすまし防止、遠隔チェック、管理者への測定結果メール送信機能も。

既存のアルコール検知器を利用したい場合には、システムに手入力して運用します。

項目 内容
料金 初期費用:専用デバイスの購入費用
月額費用:5年間無料
無料期間 5年間
URL C-Portal

既存の検知器をそのまま利用できる「KITARO」

KITAROは、既に自社で所有しているアルコール検知器と専用のスマートフォンアプリを連携させて使用できます。

検知器に表示された結果をスマホアプリを介して管理者に送信することも可能。簡単な操作で測定データを運転日報に記録できます。

また、安全運転管理者がドライバーと離れた場所にいても、アプリのビデオ通話で酒気帯びの有無を確認可能です。

項目 内容
料金 初期費用:0円〜
月額費用:3,360円〜/1台 など
無料期間 あり
URL KITARO

証拠を強固に残せる「SmartDrive Fleet」

SmartDrive Fleetは、検知器をスマートフォンやタブレットの専用アプリと連携させることでアルコールチェックを行います。

検知器の結果表示画面を反映する画像取り込み機能や、遠隔での立会を証明するワンタイムパスワードを発行できる機能も搭載しているため、強固な証跡を残せます。

運転前後でチェック未実施の場合や、チェックで酒気帯びが検知された場合には、ドライバーや管理者に通知を送ることもできます。

また、既に自社で保有している検知器との連携も可能です。

項目 内容
料金 初期費用:要問合せ
月額費用:要問合せ
無料期間 デモ体験期間あり
URL SmartDrive Fleet

専用検知器で誤検知を低減「LINKEETH」

LINKEETHは、専用のアルコール検知器が高性能で、アルコール成分以外には反応しにくく、誤検知を低減できる点が特徴です。

検知器をスマートフォンと連携することで、データを管理簿上に自動入力。手入力項目の一部は選択式項目にも対応しているため、正確で効率的な記録を後押しします。

道交法改正で記録が義務付けられている8項目をシステムで一元管理することが可能です。

項目 内容
料金 初期費用:無料
管理者アカウント:1ID無料、追加1ID550円
アプリ利用料:1ID660円
無料期間 あり
URL LINKEETH

飲酒運転防止の徹底重視「Bqey(ビーキー)」

Bqeyは、専用アプリをスマートフォン・タブレットにインストールして利用します。

指定のアルコールチェッカーを使用すると、測定結果をアプリに自動入力。測定データは3年間保管が可能です。

また、既に購入したアルコールチェッカーを利用したい場合には、測定結果をアプリに手入力して運用することもできます。

項目 内容
料金 初期費用:不要
月額費用:要問合せ
無料期間 なし
URL Bqey

クラウド型アルコールチェックサービスを選ぶ際のポイント

ここからは、クラウド型アルコールチェックサービスを選ぶ際に着目すべきポイントについて解説します。

法令対応の必須要件を満たしているか

「2023年12月施行のアルコールチェック義務化に完全対応している」という、法令対応の必須要件を満たしていることをまず確認しましょう。点呼記録の保存期間や記録内容が国土交通省の指針に準拠しているかチェックすることが重要です。

管理画面や操作性が現場スタッフにも分かりやすいか

スマートフォンやタブレットから現場スタッフが簡単に操作できるか、迷わずに日常業務で使えるUI設計かも重要です。操作が難しいと、スタッフ一人ひとりが毎日使用することが煩わしくなって、チェックが定着しないおそれがあります。

既存のアルコール検知器や点呼システムと連携できるか

既に使用しているアルコール検知器との接続可否や、他の車両管理システムや点呼アプリとのデータ連携が可能かどうかもチェックしましょう。

「データを自動入力でき、一元的にまとめられて、管理運用を会社全体で効率化できるか」といった観点で考えることがポイントです。

初期費用・月額費用・無料プランの有無を比較する

システムの初期導入に必要な費用や、ライセンス形態(1IDに対して課金されるのか、車両1台に対して課金されるのかなど)を確認しましょう。

無料トライアル期間や段階的に利用できるプランの有無など、スモールスタートできるかどうかもチェックしてみましょう。

導入企業数やサポート体制、トラブル対応実績を確認する

導入実績の多さや、企業規模別の導入事例を製品のWebサイトで事前にチェックし、自社に合っているかどうかを検討しましょう。

また、サポート窓口の充実度はトラブル発生時の対応スピードに関わるため、重要です。サポート窓口が「平日のみ」「土日祝も対応可」と、サービスによってさまざまです。自社の車両の運行実態を想定し、万が一のトラブル発生時に迅速にサポートを受けられるかどうかを検討することが大切です。

自社に合ったクラウド型アルコールチェックサービスを導入し、安全運転管理を効率化しよう!

本記事では、クラウド型アルコールチェックサービスに関する基礎知識と、具体的な10製品を比較しながら紹介しました。

社用車を一定規模以上保有している事業所では、アルコールチェック義務化対応が必須です。

クラウド型アルコールチェックサービスを導入することで、適切な法令対応と、業務効率化を同時に実現できるでしょう。

本記事でお伝えした比較表や、選定ポイントをぜひご活用いただき、自社の業務に最適なサービスを検討してみてください。