ヤフー株式会社は、日本最大級のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営する情報サービスプロバイダーです。1996 年に設立されて以来、 2000年には日本で史上初の株価1億円を突破するなど目覚ましい勢いで事業を拡大し100を超えるサービスを提供しています。これらのサービスを安定した高い品質で提供するほか、集まるビッグデータを活用するためのインフラとして国内数か所にてデータセンターを運用しています。その新白河と北九州のデータセンターにEコマース領域でも重要となる時刻同期環境を整備するために「Time Server TS-2560」を採用いただいたヤフー株式会社のテクノロジーグループ システム統括本部 サイトオペレーション本部長の高澤 信宏 氏と井比 努 氏に、「TS-2560」の導入の経緯と導入後の評価についてのお話を伺いました。

  • 数年前からうるう秒対策を検討していたが、根本的な解決策が検討できていなかった。
  • うるう秒対策のために膨大な社内コミュニケーションコストが発生していた。
  • タイムサーバーのアジャストモードの活用で、うるう秒対策準備ができた。
  • コマンドラインでの運用で、オペレーションコストを削減。

1.【導入背景】うるう秒に根本的な対策の検討が必要でした

- タイムサーバーを導入した背景をお聞かせください。

5、6年ほど前からうるう秒の予告が発表されるたびに対応しなくてはならないという意識はあったのですが、会社の急激な成長などに起因して直前での準備に追われ、根本的な解決策の検討までは至っていませんでした。今回データセンター敷地内にアンテナを設置してタイムサーバーを導入することで、長年の課題を解決するべく検討を始めました。

2.【経緯】うるう秒対策が手探り状態でした

井比 努氏
うるう秒が原因でサービスが停止した事例の報道はいつも気になっていました。

— これまでのうるう秒対策についてお聞かせください。

オープンソースを利用してNTPサーバーやクライアントの設定を行っていました。幸いにもこれまで事故は起きていませんでしたが、うるう秒が原因でサービスを提供できなくなる事例を知って、自分たちでチューニングをしながら手探り状態でシステムの運用を継続することに非常に危機感を抱いていました。また、これまではうるう秒の対策をする際に、どの装置やOSで問題が発生する可能性があるのかを、ひとつひとつメーカーや販社に確認をとる必要がありました。現在、約10万台のサーバーをサービス基盤として運用していますが、どのように対応するかの意思疎通が必要であり、ビジネスの拡大に伴い、社内外のコミュニケーションコストが年々膨大なものになっていました。

 

3.【決め手】うるう秒対策はアジャストモード

高澤 信宏氏
インフラを運用している以上NTPについてもOSレベルまで管理を徹底しています。

— タイムサーバーが優れていた点をお聞かせください。

[1] アジャストモード機能

自社でデータセンターを運営していて、敷地内にアンテナを設置できる場所が確保できることもわかっていたため、オンプレミスでの導入を大前提に検討を始めました。製品の選定については、セイコーソリューションズのタイムサーバーを採用しようと検討段階から決めていました。導入実績も多数あり、継続的に製品情報を提供いただいていたので、うるう秒対策としてのアジャストモード機能を含めて十分理解していたことが決め手となりました。

 

 

 

 

[2] コマンドラインでの運用

「TS-2560」には必要と考えていた機能はほぼ実装されていました。特に、SSHでアクセスできるところが非常に操作性がよく、構築や運用をスムーズに行えています。弊社の運用ではブラウザではなく、できるだけコマンドライン(CLI)で設定を行うようにしているのですが、L2スイッチと操作手順が似ており、あらかじめ教えていただいたことを踏まえて違和感なく設定ができました。

北九州データセンター内に設置されたタイムサーバーとタイムディスプレイ

 

4.【導入効果】短期構築完了でトラブルもありません

北九州データセンター
新白河データセンター

— タイムサーバー導入後の評価をお聞かせください。

現在、国内数か所でデータセンターを運用していますが、フラッグシップセンターの位置づけの福島県の新白河データセンターと福岡県の北九州データセンターに「TS-2560」を2台ずつ冗長構成で設置して時刻情報配信環境を整備しました。
構築前に実機をつかった製品説明やデモを実施してもらったので、短期間で特に問題なく稼働させることができました。

また、故障やトラブルも今のところ起きていませんし、取扱説明書やマニュアルが非常にわかりやすいのは国産メーカーならではと感じています。今後のサポートについても不安に感じる要素はありません。

 

 

5.【今後の期待】うるう秒対策を万全にしたい

— 今後の期待をお聞かせください。

現状は、ダウンロードした設定情報を修正すると、インポートを拒否されてしまいますが、編集ができるように緩和されると運用効率向上が期待できます。また、本サービスの運用基盤は、まだ「TS-2560」から時刻参照していないため、今の段階でうるう秒のテストをして、自社のシステムをアジャストモードで統一することで、対策を万全にして、次回のうるう秒の対応に向けて準備していきたいと考えています。

本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

 

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※ 取材日 2019年11月