【コラム3】IPv6対応はリスク管理の問題
IPv6は単なるIPv4の代わりではない
IPv6は、IPv4で「2の32乗(約43億 ※4.3×109)」だったIPアドレスを「2の128乗(約340澗 ※3.4×1038)」まで使えるようになるため、実質的に無尽蔵のIPアドレスを提供できます。そのため、IP枯渇問題を解決するための次世代プロトコルだと思われてしまいがちですが、IPv6は単に「枯渇問題」を解消するためのものではありません。
例えば、無尽蔵のIPアドレスを提供できる利点を活かして、PCやスマートフォンといった情報端末だけでなく、空調や照明などの設備機器、さまざまな家電製品にもIPv6アドレスを持たせれば、IPv6デバイスとして通信できるようになります。それらから、WiFi等の無線環境を通じてリアルタイムに良質のデータを大量に収集することで、ビッグデータとして有効活用したり、IPv6デバイス同士のP2P通信やPush型サービスなどが新規に大規模に展開できます。
IPv6未対応のリスクを回避
新しいチャンスが生まれるIPv6も、簡単に移行ができるわけではありません。
また、IPv6をサポートしても、IPv4とIPv6の共存期間が10〜20年にわたると考えられています。
当然、その期間は
- 増えるIPv6ユーザへの対応
- 少なくなるIPv4アドレスの確保と延命措置
- 混在するIPv6/IPv4のマネジメント
といった対応が必要になります。企業・組織側は両方のユーザに対応しつつ、IPv6/IPv4混在環境のセキュリティー面での安全性や運用面での安定性を確保しなければいけません。
これらに加えて、
- IPv6で先行する世界市場への対応
- スマートフォン・タブレットなどのスマートデバイスへの対応
- IPv6を活用した新しい市場への挑戦
など、ビジネスチャンスをロスしないためのアクションも求められます。自社のネットワークが対応できていないから、新しいビジネスにチャレンジできないとあっては、経営上のリスク管理として十分だとはいえないでしょう。
IPv6対応は単なるプロトコルの移行では終わりません。将来の企業戦略を見越した対応が求められます。同様にIPv6/IPv4トランスレータは、単にプロトコル変換装置として考えるのでなく、ネットワークシステム全体の中で考える必要があります。IPv6/IPv4トランスレータを提供する企業は運用やセキュリティーなど全体的な管理における深いノウハウを持って、各社の中長期的なネットワーク戦略を考慮した相談ができる相手でなければなりません。自社の課題に対応できる最適なパートナーを探し、積極的にネットワーク全体を考えることがIPv6対応の本質だといえるでしょう。