コンピュータシステムが正確に稼働するために重要となるのが時刻同期。
その時刻同期に必要なタイムサーバーをご導入いただく際には様々な準備が必要です。
本コラム「時刻同期のプロがこっそり教えるタイムサーバーのいろいろと大変なお話」では、実際にお客様のタイムサーバー設置を支援する技術サポートの担当者が、NTP時刻同期について知っておくとよい情報やお客様がつまずきやすいポイントについてご紹介をいたします。

第1回:同期先で困ったな…… ~ タイムサーバー時刻ソーストラブルあるある ~

本コラムでは、弊社の技術サポート担当者より、NTPによる時刻同期について様々な視点でご紹介させていただきます。

現在、世の中には正しい時間を教えてくれる様々なサービスが存在します。弊社のタイムサーバーも様々な時刻ソースと同期してお客様機器のNTP要求に答えています。まずはかんたんに弊社で取り扱っている時刻ソースについてご紹介します。

時刻ソース 特  徴
GNSS GPSを含む測位衛星を介した位置情報システムの事で、受信情報から時刻を合わせます。アンテナ設置に制約が有りますが、時刻精度は極めて正確です。
FM NHK-FM放送の時報で時刻を合わせます。アンテナは屋内に設置されることが多いです。FM放送はクリアに聞こえなければいけません。
テレホンJJY 情報通信研究機構(NICT)へ電話接続し、時刻情報を受信して時刻を合わせます。アナログタイプは2024年3月末でサービス終了予定です。
長波JJY 情報通信研究機構(NICT)の送信所から長波JJY信号を受信して時刻を合わせます。アンテナは屋内設置も可能ですが、受信環境を選びます。

 

GNSS/長波アンテナは設置が大変! ~敷設コスト、建物オーナーの承認など~

皆様は最近ビルの屋上に登られたことはありますか?現在は防災の観点からも自宅マンションの屋上でも簡単には登れないですね。実は今、ビルの屋上環境は非常に窮屈なんです。GNSSタイプや長波タイプは電波を受信しやすい屋上にアンテナ設置をすることを推奨していますが、昨今は「屋上に設置するスペースが無い」、「屋上が借りられない」、「屋上の利用料やケーブル敷設代が高額」等々、様々な理由により屋上設置は難易度が高いと言われています。

そのため、お客様からは屋内設置についてよく聞かれますが、屋外に比べると受信感度は低く、結果として時刻同期に失敗しやすくなるため、技術サポート担当としては勧めづらく非常に悩ましいところです。

もうアンテナの設置スペースが無いぞ!
屋上のアンテナ工事は大変だ!

 

FMタイプって意外とトラブル多いです! ~FM放送はどこでも聞こえるはず?~

FMタイプは比較的簡単に設置ができるので多くの企業に導入されています。そのためお問い合わせも多くいただきますが、『同期トラブル』についてのお問い合わせである事が非常に多いですね。
例えば、導入時に「いつまで待っても同期しない」とご相談をいただくことがありますが、お客様に状況を伺ってみると・・・。

「FM放送音が雑音で聞き取りにくい」、「良くなったり悪くなったりする」など、単純に受信環境が悪いだけと思われる状況が多いです。

そのため、こちらも回答としては「アンテナを持ってより良く聞こえる場所を探してください」と説明しています。FM放送はどこでも聞けるイメージがあるので、かんたんに同期が取れると思われているようですね。また、FMタイプでは、「ずっと使えていたけれど、最近受信に失敗することが多い」と言う相談もよく受けます。周辺の建物環境の変化や室内の設置物の移動の影響によることが多いようで、アンテナ位置の再調整や、設置場所付近にあるパソコン電源を移動したら改善したなどの事例が多くあります。アンテナ位置を移動しても同期できない場合は、難しいことは重々承知しているのですが、屋上にアンテナ設置してくださいと勧めることもあります。

FMはアンテナの位置が大事!
アンテナは窓際が一番♪

 

ビルでGNSS/長波/FMタイプ利用はハードル高いです! ~窓がない建物、新築ビルの電波の通りにくい窓~

お客様に費用を負担いただき設置環境の事前調査を行うことがありますが、先日は窓のないデータセンターの一室で、フロアが広く設置ラックは室外の通路からも離れている場所ということがありました。調査前から嫌な予感がしたのですが、案の定的中です。各種電波は全て受信不可、アナログのテレホンJJYは電話工事すれば利用は可能でしたが、サービス提供期間の終了が近く、お客様の選択外でした。

結局アンテナの屋内設置は諦めていただき屋外設置を検討されることになりましたが、屋上は使用許可を得ることが難しいと困っていました。このように東京近郊でも意外と条件の良くない環境というのは結構あるということを現場対応を通して日々実感しています。

いろいろなアンテナにまつわる時刻ソーストラブルのお話をしましたが、最後にそれらのお悩みを解消するための新サービスをご紹介します♪

<新しい時刻ソースのお話> 

アンテナ工事が不要な新サービスが登場しました!
2021年より発売開始した『セイコークローズドモバイルNTP』です。
LTE(閉域モバイル網)を利用して「セイコーソリューションズ時刻配信センター」に接続します。
ご興味がある方は、弊社販売パートナーまでご相談ください
https://www.seiko-sol.co.jp/products/time_server/time_server_lineup/closed_mobile_ntp/

  • LTEが利用できるか心配なお客様
    導入前にLTEアダプタを借りて信号レベル測定(無償)ができます! お気軽にご相談を♪

さて、今回のコラムは如何でしたでしょうか?
今後も定期的に掲載していきますので、楽しみにお待ちください。
気軽にお読みいただき、少しでもお客様のお役に立てば幸いです。

―「次回の掲載予定」―――――――――――――――――――

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(お問合せ先情報)
セイコーソリューションズ株式会社 タイムマネージドサービス担当
お問い合わせはこちら/TEL:043-273-3184

著者プロフィール

北島 康行

著者近影:北島 康行氏セイコーソリューションズ株式会社
STN営業技術部でタイムサーバー全般を担当

■経歴
2014年    入社
2015年11月~ タイムサーバー全般を担当

数々のタイムサーバー導入事例を経験し、現在に至る

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