1.東京証券取引所について
ー 御社の概要についてお聞かせください。
2013年の経営統合以降、東京証券取引所は現物売買を担っており、サービス提供のために「arrowhead」など数多くのシステムを運用しています。さまざまなシステムと市場参加者の皆さまをつなぐ高信頼のネットワークが2009年に構築した「arrownet」であり、最先端技術の活用により高速かつ大容量の通信を実現し、災害時における事業継続性や、市場参加者の皆さまの取引継続性を確保しています。
2.タイムサーバー導入の目的と経緯
— タイムサーバーを導入された目的をお聞かせください。
「arrownet」では、コーポレート情報や売買情報など機密性の高い情報を取り扱っていますので、オンプレミスのシステム構築をしています。
また、さまざまな業務システムが稼働している各システムでの時刻同期が必要です。コロケーションサービスの利用者からも売買システムと同じ時刻の提供を希望されます。
そのため、2009年の構築時からセイコーソリューションズ製のタイムサーバーをNTPサーバーとして利用し、Stratum2の各システムに時刻を配信しています。
— タイムサーバーを導入された経緯をお聞かせください。
2009年当時も信頼性が高く、サポートが手厚い国内メーカーであるということが選定理由でしたが、導入以来、大きな障害が発生していない安定性と堅牢性があり、うるう秒の対策についてもタイムリーに対応してもらいました。
そのため、今回の更改でも、高い信頼性と充実したサポートを決め手に「Time Server TS-2550」を採用させてもらいました。
— 他社製品と比較して、タイムサーバー が優れている点をお聞かせください。
[1]うるう秒対策(アジャスト機能)
「arrownet」では、うるう秒が挿入される半年前から影響確認を行っています。「TS-2550」のうるう秒補正方式の1つである「アジャスト調整方式」を使用すれば、各システムを変更することなく対応することができます。
「arrownet」では、多様なシステムが稼働していて、構成する機器も数多くありますので、どのような機器が稼働していても、うるう秒の時刻補正が可能になるよう、アジャスト調整方式を採用させてもらっています。
[2]充実したサポート
選定理由でもお話ししましたが「TS-2550」に対する手厚いサポートは非常に助かっています。前述のうるう秒挿入時の動作についても色々と問い合わせをしますが、タイムリーな回答と各種資料を提供してもらえますので、安心してうるう秒を迎えることができています。
また、今回は「TS-2550」を複数台更改しましたが、エンジニアの適切なサポートにより、段階的かつスムーズに移行することができました。
3.タイムサーバー導入後の評価
— タイムサーバー導入後の評価をお聞かせください。
「TS-2550」導入後にも、うるう秒の挿入がありましたが、うるう秒の補正方式の資料をガイドラインとして「arrownet」の利用者に配布し、アジャスト調整方式で問題なく各システムへの時刻配信を行うことができました。「arrownet」では、シングルポイントを作らない冗長構成を意識しているため、異なる時刻ソースのモデルがある「TS-2550」を複数台導入したことで時刻ソースや時刻同期も冗長化することができています。
4.今後の期待
— 今後の期待をお聞かせください。
「TS-2550」は、オンプレミスで構築しているため、色々なテストがしやすいのですが、うるう秒を疑似的に発生できるとさらに便利になります。うるう秒対策の確認は一大イベントになるため、是非実現してもらいたいと思っています。
昨今の金融業界では、より高い精度で時刻ソースと同期できることが求められています。堅牢で安定的なタイムサーバーを提供しているセイコーソリューションズには、NTPサーバーに限らず、より高精度なタイムサーバーの開発・提供を期待しています。
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。