常翔学園中学校・高等学校2022年に100周年となる常翔学園中学校・高等学校は、建学の精神にもとづく教育理念“「自主・自律」の精神と幅広い「職業観」を養い、目的意識を持った進学の実現により、将来、実社会で活躍できる人材を育成する。”を実現するために、アクティブラーニング、グローバル教育、キャリア教育にICTを積極的に活用されています。

iPadの導入にあわせて、電子辞書アプリとしてセイコーの電子辞書アプリ「セイコー辞書アプリ」をご採用いただきましたので、高校教頭 田代 浩和先生と生徒の皆さんに導入の経緯や効果などについてお話を伺いました。

  • 当初使用していたWebの辞書では内容不足で、受験対策として不十分だった。
  • iPadを導入したが、電子辞書や紙の辞書とあわせて両方使用するのは生徒の負担が大きかった。
  • 一つ一つの個別の辞書アプリを検討したが、辞書間の横断的な検索ができなかった。
  • 「セイコー辞書アプリ」の導入で、電子辞書などとの2台持ちの必要がなくなった。
  • 例文、発音などの内容の充実した辞書が多数収録されており、受験勉強のためにも非常に有効。
  • 「一括検索機能」で複数の辞書の一括検索ができるようになった。

導入の背景 ICT導入の経緯について

- 常翔学園のご紹介をお願いします

本学は1922年に関西工学専修学校として設立され、2022年に100周年を迎えます。

現場で活躍できる専門職業人人材を育成するために開校し、現在は、大阪工業大学、摂南大学、広島国際大学の3大学、常翔啓光学園、当校の中学・高校の5校からなる総合学園となっています。もともとは男子校で、共学となり、10年ほど前に校名を常翔学園高等学校に変更しました。中学は8年前に設立されました。

創業者の想いである、“「自主・自律」の精神と幅広い「職業観」を養い、目的意識を持った進学の実現により、将来、実社会で活躍できる人材を育成する。”という教育理念にもとづき、2000年以降、キャリア教育を推進しています。その一環として、2015年からICTの導入検討を開始しました。

- ICT導入の経緯について教えてください

highs-josho-img02
常翔学園中学校・高等学校 
高校教頭 田代 浩和 先生

まず、2015年に1年間かけて検討を行い、他校にも視察訪問させていただきました。

翌2016年には全教員にiPadを配布し、全館のWi-Fi化を行い、授業中に生徒へ貸し出しをしながら実証実験を行いました。教員には1年間かけて様々な研修も行っています。自主的に学校外の研修に参加する先生もいました。

iPad導入の理由としては、コンパクトである、色々な教育コンテンツがある、起動が速い、セキュリティが確か、価格も比較的安価、他の学校での採用が多いなどの面から選定しました。

そして、2017年の中学・高校の新入生から、一人一台使ってもらうようにしました。
来春の新入生で3学年、生徒全員にいきわたることになります。

 また、昨年は11月に公開授業を開催しています。公開授業は、ICT導入当初から開催することを決めていました。ICTの利用レベルがまだ低く、また、導入したばかりでどんな授業ができるかもわからない状態でも、他の学校の先生に見ていただき、色々と指摘・アドバイスしてもらおうと考え、とりあえずチャレンジしてみようとのスタンスでした。

結果として、1年でここまでできたのはすごいなど、意外に高評価をいただき、自信にもなりました。ICT先進校の先生方からは使い方のアドバイスなどもいただくことができ、想像以上に多くの新聞や雑誌に掲載いただくなど、本当にやってよかったと思っています。

 運用については、ロイロノートなどは全員共通で使っていますが、授業の中で、どのようにiPadを使うのかなどについては、基本的には教員一人一人が決めていきます。

導入の経緯 『セイコー辞書アプリ』の選定理由について

- 『セイコー辞書アプリ』を導入された背景について教えてください

最初は、辞書アプリの導入を英語科と国語科の先生に検討してもらいました。当時は電子辞書を使用していて、そのいろいろな機能を使っていました。小テストの機能や英検対策機能がありましたので、電子辞書をやめてほしくないという意見もありました。そのため初年度は、電子辞書を使いたい生徒は使う、使わない生徒はインターネット上の辞書を使えばよいということにしました。

しかしながら、辞書なしでは学習に支障がでる、ネット上の辞書では不十分であるという声が現場の教員から出たため、辞書アプリの導入に踏み切りました。やはり、ネット上の辞書では受験対策としては不十分でした。
具体的な問題をあげると、例えば英語では、説明が不足していたり、例文が少ない、発音が記載されていないなどの問題がありました。しっかりとした勉強をするためには、内容が充実している辞書は必要です。特に、受験を考えると必須と考えています。

highs-josho-img04
豊富な例文など充実したコンテンツを収録

- 『セイコー辞書アプリ』を選んだ理由を教えてください

当初は他社の辞書アプリを検討していたのですが、複数の辞書の一括検索ができないと非常に使いにくいという声があり、一括検索にも対応した『セイコー辞書アプリ』を選びました。

導入の効果 今後の期待&生徒の皆さんの声

-『セイコー辞書アプリ』へのご要望はありますか?

特に不満な点はないのですが、他のアプリとの連携ができるとよいですね。他アプリで作成した文章などを、常に『セイコー辞書アプリ』が監視し、間違った単語スペルがあると教えてくれるなどの機能があるとよいですね。

今後はデジタル教科書の導入が進むので、ますます活躍の場が増えると思います。

- 利用している生徒の皆さんの声

highs-josho-img03
生徒の皆さん

Aさん(高校1年):

iPadは高校に入学してから使い始めました。ロイロノート、ATLASなどのアプリや、数学の問題集、インターネット検索などで使うことが多いです。宿題がロイロノートで出ますし、英文をiPadで録音して提出するという宿題もあるので、家でも使います。
『セイコー辞書アプリ』では英単語を調べることが多いです。
以前は紙の辞書を使っていましたが、単語を探すには『セイコー辞書アプリ』が便利ですね。また、分厚い書籍を持ち運ぶ必要がないのがよいです。

Bさん(高校1年):

教科によっては板書をiPadで撮影してよい時間があります。撮影した画像は友達と共有したりしています。過去の授業の画像も見られたりして復習にも便利です。
『セイコー辞書アプリ』は、耳で聞いた英単語の発音をローマ字入力すると正しい英単語の候補が出てくるスペルチェック機能も便利だと思います。授業で行われている海外の先生とのオンライン英会話の時、わからない単語を講師の先生に聞いていますが、『セイコー辞書アプリ』でも調べるようにしたいと考えています。今後は、手書き入力などに対応すると嬉しいですね。

Cさん(高校1年):

読書が好きなので、『セイコー辞書アプリ』をよく使います。いつも横に置いて読書しています。以前は紙の辞書と電子辞書を両方使っていましたが、今は『セイコー辞書アプリ』しか使っていません。いちいちページをめくって調べる紙の辞書に比べ、調べるのが早いですね。
あとは、単語帳登録できるのも便利です。過去調べた単語や熟語を確認しています。あとは、日本語の文章を入れると英文に翻訳してくれる機能があると嬉しいです。

Dさん(中学2年):

以前は電子辞書を使っていたのですが、画面のサイズも『セイコー辞書アプリ』の方が大きく、画面も見やすくてよいですね。
授業では英語で使うことが多いですが、読書しているときに国語辞書もよく使います。

Eさん(中学2年):

iPadは使いやすいですね。授業では英語で使うことが多いです。単語プリントが配布されたときに、発音を『セイコー辞書アプリ』で調べたりしています。
以前は、単語などをインターネット検索で調べたりしていたのですが、『セイコー辞書アプリ』は詳しい説明があり、例文などもあるのでよりわかりやすいです。また、説明を読む中で、関連する色々な意味を調べたり、色々なことが記載してあったりと、面白いですね。機械音痴なのですが、『セイコー辞書アプリ』は使いやすいです。

ICT教育導入で苦労した点と今後の取り組みについて

-  ICT導入で苦労した点を教えていただけませんか?

今年はICT導入2年目になり、1年生、2年生が全員持っているという状況ですが、来年、やっと全教員、全生徒、一人一台という環境がそろうことになります。

このような速いテンポで導入が進められた背景ですが、早い段階から、導入ありきとしてICT推進プロジェクトを立ち上げて取り組んできたのが大きいと思います。導入ありきで進められたのは、2020年までに生徒一人一台のタブレットをという文部科学省の目標が要因です。それに間に合うように、トップダウンで進めてきました。

実は、先生の中には導入に反対する方もおり、色々な意見がありました。そこでアンケートを取りましたが、反対された先生は16%のみと、思ったより少なかった印象です。当校の文化もあり、反対をしていた先生もいったん導入が決まったら、それ以降は反対と言わず取り組んでくれています。

また、ICTの導入により生活指導面で新しい課題が出てくることもあります。そのような場合でも、ICT導入反対ではなく、どうしようかと前向きな解決策の検討をしてくれています。先生は皆、前向きに取り組んでくれていると思います。

運用については、ロイロノートとClassiは全員共通で使っていますが、授業の中で、どのようにiPadを使うのかなどについては、基本的には教員一人一人が決めていきます。各教科担当の中での意見交換の実施、研修会の実施などを行っており、ノウハウは共有され、蓄積されていっていると思います。また、全体研修を年間2回くらい実施していますし、少し前までは、週に1回自主研修会も行っていました。

-  ICTへの今後の取り組みを教えていただけませんか?

本来は、こういう教育を行います、こんな授業を行います、だからICTを導入します。というのが理想の姿だとは思いますが、当校では、まず導入ありきで推進してきました。ICTが普及していない状況、どのようなものかがわからない状況の中での導入でしたので、まず使ってみようというところからスタートしました。

また、後付けでもよいので当校のICTの意義、特徴を考えましょうと議論して出たのが、「アクティブラーニング」「グローバル教育」「キャリア教育」の3つです。この3つをICTの力で実現し、教育理念を実現しましょうとしました。

まだまだ試行錯誤の段階ですが、今年度のテーマは「ICTと授業デザインルーブリック」とし、研修会も行いました。先生はその授業で何を生徒に伝えたいのかを明確にして、どのような場面でICTを使うのが効果的なのかということを考えていきましょう、ということを意識していきます。

特に、アクティブラーニングの場合、紙のテストだけではなく、パフォーマンステストになることが多くなるかと思います。その時に、どのように評価をしたらよいかを考えるため、ルーブリックの調査・研究をしています。

今後、直近のICTの取組の目標は、要はインフラの整備ですので、来春に一段落となります。しかし目標として重要なのは、ICTをいかに活用するか、授業をどう変えるか、学校をどう変えるかというソフト面になります。

この点については、公開授業を毎年行うことで先生方の創意工夫を加速させたり、色々なご意見をいただいたり、また、研修などを行うことで高めていきたいと考えています。方向感を全員で共有するため、全員の研修会を行うことについても検討しています。

常翔学園中学校・高等学校 高校教頭の田代浩和先生、生徒の皆様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

お客様プロフィール

常翔学園中学校・高等学校 http://www.highs.josho.ac.jp/
1922年設立
導入年月: 2017年4月

※ 取材日時 2018年8月