株式会社ヤヨイサンフーズは、2014年4月1日にヤヨイ食品株式会社と株式会社ニチロサンフーズが合併して誕生した会社です。歴史ある両社が積み重ねてきた商品開発力、生産技術力、人材力を強みに、国内の4工場で業務用冷凍食品を製造し、全国で販売しています。
今回は700人以上の社員が生産に従事する、社内でもっとも大規模な清水工場でお話を伺いました。

  • 電波が届かず、冷凍食品の製造現場で工程ごとに参照する時刻にずれが生じて品質管理の点から課題として認識していた。壁掛け時計は電池交換が難しくメンテナンスせずに自動補正できる時計を探していた。
  • NTPクロックとタイムサーバーを導入し、工場内の時計が設置場所を問わずすべて正確な時刻を示すことで品質管理の信頼性が向上。PoEモデルの採用により、電池交換の手間が省け、定期的なメンテナンスも不要に。

1.【導入背景】電波が届かず正確な時刻が確認できない点は食品製造業として大きな課題だと認識していました

- NTPで同期する時計を導入した背景をお聞かせください。

清水工場の敷地内には、製造する商品に応じた4つの工場建物があります。昨年にまずNTPクロックのPoEモデル(SCN-300J)を16台とこの時計に時刻情報を配信するタイムサーバーをグラタンやドリアを製造している第一工場に導入しました。
これまで、時計は総務課で一括して電波時計を購入し、工場内に設置する際には文字盤の上のガラスをポリカーボネートに張り替えてから現場に引き渡していました。しかし、工場内には電波が届かない場所が多数あり、各時計が示す時刻に数分のずれが生じていました。時刻のずれは食品製造を行う安全面や労務管理の点で問題があり、正確な時刻表示を行うための方法の検討を開始しました。

2.【経緯】時刻ずれの指摘が複数あり、解決策の検討を開始していました

— セイコーのNTPクロックを検討されたきっかけについてお聞かせください。

時計の補正は現場で行う想定でしたが、その運用手順が明文化されていないうえ、最近の電波時計は手動で補正できないことや、時計が手の届きにくい場所に設置されていることから、実際には対応できていませんでした。お客様が工場見学をされる際や、ISO14001の更新審査、お客様による監査などで時刻ずれについてたびたび指摘を受けており、時計の自動補正方法について検討を開始しました。NTPクロックのほかに、従来の電波時計に電波を飛ばすリピーターの導入も候補として検討していました。

3.【決め手】費用や運用性を考慮してNTPクロックの導入を決定しお盆休みに設置を完了しました

— NTPクロックの導入を決定した経緯をお聞かせください。

時刻のずれについて数年前から社内で課題として認識していたところ、NTPクロックについて展示会で知り検討を進めてきました。検討の結果、これまでの様々なシステムの導入経験から、有線で確実に時刻の自動補正が行われることが重要と考え、NTPクロックと時刻情報を配信するタイムサーバーの導入が決定しました。
配線工事や時計の設定・設置については、以前に計器の記録の運用管理を依頼した実績のある企業にお願いしました。NTPクロックやタイムサーバーの設置場所やネットワークの設定などを事前に検討し決定したうえで、工場が稼働していないお盆休みを利用して、1週間で配線から設置までを完了させました。

工場内部に設置されたNTPクロック

4.【効果】どこにいても正確な時刻を把握できる点が品質管理や安心感に大きく寄与しています

— NTPクロックが優れていた点をお聞かせください。

まず、工場内の時計がすべて同じ時刻を示し、時刻のずれがなくなったことです。食品製造の現場では、安全性のために正確な時刻情報が重要です。現場では、製造に問題がないか、一定時間ごとにチェック表への記入を行うことが求められています。しかし、スマートフォンや腕時計の持ち込みが禁止されているため、記入に必要な時刻を確認するには壁掛け時計を見る必要があります。
また、非常に高い場所に設置されていて電池交換が難しい時計もありましたが、PoEモデルは電池交換が不要なため、時計ごとの定期的なメンテナンスがほぼ不要になった点も評価されています。さらに、勤怠管理がより正確になったほか、監査に対しても正確な時刻管理ができていることを説明できるようになりました。
他にも製品に問題があったときに正確な時刻を常に参照できる環境下では、製品の製造を最小限の範囲で止めることができるという安心感も得られ、正確な時刻の重要性を改めて実感しています。

— どのような場所に設置されていますか。

タイムサーバーは、24時間スタッフが常駐している守衛室の隣に設置しました。工場内は原材料の調理から商品の箱詰めまで、各工程ごとに部屋が分かれていますが、NTPクロックはそれぞれの部屋に視認性を考慮して1台ないし2台設置しています。各部屋では複数人が共同で作業を行いますが、室内のどこにいても誰もが時刻を確認できるよう配慮しています。実際に設置する際には、設置場所ごとに事前に説明を行い、スムーズに設置を完了させました。
また、設置済みのNTPクロックの管理は工務課に集約することができました。今回導入したNTPクロックには非常に満足していますが、万一の破損のリスクを考慮して、ガラスではなく飛散時の飛び散り範囲が抑えられるポリカーボネートのカバーを取り付けられるよう対応してほしいです。

5.【今後の期待】敷地内の工場に段階的にNTPクロックの導入を進め、商品のさらなる品質向上に努めます

— 今後の期待をお聞かせください。

2024年度には、導入済みのものと同じモデルのNTPクロック約30台を、ハンバーグ、メンチカツ、クリームコロッケなどを製造している第三工場に設置します。こちらも第一工場と同様に、お盆休みを利用して設置を完了させる予定です。また、デザートやコロッケを製造している他の2つの工場建物にも、いずれ導入したいと考えています。
当社は、企画から製造までを担うナショナルブランド商品と、お客様(小売業者様や卸業者様)のご要望に沿って開発・製造を行うプライベートブランド商品を製造しています。お客様は製造委託検討時に生産現場を視察し、発注後も品質が維持されているかを確認するために定期的に監査を行います。品質管理を重視するお客様からの委託を継続的に受注するためには、工場敷地内で時刻を同期する環境が整備されていることを説明できることは非常に重要です。
ヤヨイサンフーズは商品を通じてお客様に「感動」をお届けすること、品質・安全第一、当社商品への「信頼」を築くことを目指し、今回の時刻同期環境整備も含め製造現場の改善にも継続的に取り組んでまいります。

生産本部 清水工場 工務課長 横山泰氏

 

本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

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株式会社ヤヨイサンフーズ

※ 取材日 2024年3月