岩手医科大学附属病院は、明治30年以来の歴史を誇る病院として地域に根ざす傍ら、岩手県唯一の特定機能病院として県外からも患者を受け入れるなど、高度医療提供の重要な役割を担っています。2019年には新病院へ移転し、より充実した医療の提供を図っています。
移転後の院内における正確な時計設備を実現するため、NTPクロックを導入した経緯と導入後の評価についてお話を伺いました。

  • 電波時計では電波を受信できず、時計の時刻が合わなかった。
  • 設置にあたり、大規模な工事を伴う方法は避けたかった。
  • 電子カルテと同じ時刻を時計で表示できるようになった。
  • 簡単な設定をして壁に掛けるだけで設置を完了できた。

1.【導入背景】記録の正確性を担保し、利便性を向上するため正確な時計が必要でした

- 無線LAN対応NTPクロックを導入した背景をお聞かせください。

まず医療安全の観点から、事故が発生した際の記録の保存や時系列の情報というのは非常に大切です。もし時計が狂って基準にする時刻がぶれてしまうと、事実関係の記録が前後ばらばらになってしまうことに繋がります。正確な時刻を記録することは病院として当然の努力義務になっているので、時刻の正確な把握が大事であることは現場にも周知しています。また、外来の患者さんの利便性の面でも、適切な場所へ正確な時計を設置する必要がありました。

2.【経緯】時計の時刻を一元的に管理できるシステムが必要 でした

— 時計の切り替えを検討されたきっかけについてお聞かせください。

移転に伴い、当初は一般的な電波時計の使用を想定していました。ところが実際に設置してみたら、建物の周囲は開けた環境であるにも関わらず電波をうまく受信できず、時計が合わせられませんでした。その状況下では、電子カルテの時刻を参照するようにしていたのですが、実際の業務の中でPCの小さな表示を参照するのは困難な場面もあります。また、「電子カルテの時刻を基準にして月曜の朝8時半に時計を合わせる」というルールがあるのですが、非常に負荷が高く、現場の負担になっていました。他にも、職員と患者さんから募った投書で「どこそこへ時計を置いてほしい」という要望も多くありました。これらの状況を踏まえて、一元的に時刻管理できる時計システムの必要性を強く感じ、それを実現できる製品を探し始めました。

— 無線LAN対応NTPクロックを検討された経緯をお聞かせください。

時計のシステムを構築するにあたり、短波無線時計の検討を行いましたが、電波を発信する送信機(親機)の設置場所に制約があり、導入計画案の策定に苦慮しておりました。
そこへ、「無線LAN対応NTPクロック」という製品が発売されるらしいという情報を担当職員が見つけてきて、内容を見てみると我々の求めているものに合致するシステムだということが分かり、数ヶ月先の発売予定に合わせて、院内導入計画の調整を行いました。

岩手医科大学附属病院内無線LAN対応NTPクロック

3.【決め手】手軽に設置でき、記録の正確性を担保できました

— 無線LAN対応NTPクロックが優れていた点をお聞かせください。

[1] 設置の手軽さ

当院は、幸いにして無線LANが整備された環境でありました。「NTPクロック」は、これを利用して時刻情報を取得できる製品であり、簡単な初期設定を行った後はすぐに目的の場所に設置し運用が可能でした。もちろん工事も不要ですし、設備のハードルとしては非常に低いものでした。

[2] 電子カルテと同じ時刻を表示できる

患者さんの生体モニターの情報が電子カルテに逐一残っていく一方で、スタッフは何時何分に何をしたという記録を残さなくてはならず、電子カルテの時刻と一致した時計が不可欠です。さまざまな処置を突合するのは電子カルテなので、NTPクロックの時刻参照先を、電子カルテの時刻を合わせているNTPサーバーと同じにすることで、記録の正確性を担保できるようになりました。

4.【導入効果】現場の業務負担を軽減し、求める品質の時計シス テムが実現できました

— 導入後、どのようなメリットがあったかお聞かせください。

また、今回は救急センターや集中治療部門のような緊急性の高い部署を中心に設置しました。そのような多忙な現場で、電子カルテの小さな時計表示ではなく、見やすい壁掛け時計を安心して参照できるようになったことは非常に良いという声が上がっています。毎週の時計調整作業による負担も解消できました。時計の正確性は、病院機能評価の際にも重視される部分であり、これをNTPクロックで実現できたことは当院のアピールポイントとなりました。

5.【今後の期待】院内すべての部署へ導入していきたい

— 今後の期待をお聞かせください。

直近でまずは産科にも導入したいと考えています。一生に関わることでもありますので、何時何分に生まれたか、正確な時刻を提供できるよう改善したいですね。また、いずれは院内すべての部署にこのNTPクロックを設置したいと考えています。高品質ですし、機能としても医療現場のニーズに合った、メリットの大きい製品だと思います。
院内で複数の時計が秒針まできっちり揃っているところを見ると、正確な時計システムを実現できたのだと実感します。世の中に広く普及して、より入手しやすくなることを願っています。

岩手医科大学附属病院 医療安全管理部長 肥田圭介氏 (医療安全学講座教授)
医療安全管理部長 肥田圭介氏 (医療安全学講座教授)
岩手医科大学附属病院 病院長補佐 吉田研二氏 (脳神経外科学講座特任准教授)
病院長補佐 吉田研二氏 (脳神経外科学講座特任准教授)
岩手医科大学附属病院 病院長補佐 高田亮氏 (泌尿器科学講座特任准教授)
病院長補佐 高田亮氏 (泌尿器科学講座特任准教授)
岩手医科大学附属病院 病院企画課 担当課長 栗山真也氏
病院企画課 担当課長 栗山真也氏
岩手医科大学附属病院 総合情報センター事務室 総括課長  齊藤匡俊氏
総合情報センター事務室 総括課長 齊藤匡俊氏

 

 

 

 

 

 

 

 

本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

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岩手医科大学附属病院
URL https://www.hosp.iwate-med.ac.jp/

※ 取材日 2020年11月