世界の時間を決定する国際機関「国際地球回転・基準系事業(IERS)」が、2017年1月1日(日本時間)に「うるう秒」を挿入することを発表しました。
セイコーソリューションズでは、そもそも「うるう秒」とは? という話から、ネットワーク機器やシステムへの影響、その具体的な対策までを、全6回のコラムでわかりやすく解説いたします。(最新号はこちら

セイコータイムサーバーの「うるう秒」対策は、こちらをご覧ください。(資料がダウンロードいただけます)

「うるう秒」もうすぐです

うるう秒対策はもうお済ですか?

皆様の会社では、「うるう秒」対策はもうお済ですか?
2017年1月1日に「うるう秒」がやってきます。
NICTが2016年11月1日に行った「うるう秒実施に関する説明会」に対する取材をもとに、ニュースサイトのJ-CASTが提供した『元旦「うるう秒」でエンジニア悲鳴「年末年始がなくなる」』という記事が、Yahoo! ニュースに11月6日に掲載されました。

NICTの「うるう秒実施に関する説明会」では、「うるう秒」の挿入が企業ITシステムなどに与える影響について、実施時期が多くの企業が年末年始休業期間ということもあり、「トラブル対応要員不足で混乱しないようにして欲しい」という話がありました。

 
「うるう秒」が“日曜日”に実施されることに伴う危惧

また、今回の「うるう秒」が“日曜日”に実施されるという点にも注意が必要です。
GPSシステムは毎週日曜日の00:00(UTC)に週番号が更新されるため、GPSの週番号、年、月、日、分の更新と、「うるう秒」が同タイミングで発生します。
十分に検証・対策されたGPS受信機以外では不整合が発生するのではいかと、筆者は危惧しています。
もちろん、セイコーのタイムサーバーシリーズは、GPSシミュレータを利用して、GPS受信チップレベルの動作確認も完了していますので、安心してお正月を迎えることができます。

時刻調整を要する機器が増えて調整作業が増えることもあり、国際的に廃止が議論されてはいますが、まだまだ「うるう秒」がなくなるには時間がかかりそうです。
「うるう秒」に対する是非は国連機関であるITU-Rの場で決定されます。次回の会合は2023年の予定です。したがって、少なくとも2023年までに数回の「うるう秒」が実施されることが予想されます。

 
セイコーの「うるう秒」対策 まとめ

さて、「うるう秒」を迎える前の準備と対策を連載コラムでお届けさせていただきましたが、ここでおさらいをしておきましょう。

【セイコーの「うるう秒」対策(第1回)】
うるう秒サムネイル150×150-01

・2017年1月1日に「うるう秒」が挿入されます
・「うるう秒」(leap second)とは?
・様々な分野におよぶ「うるう秒」の影響
・IT業界では甚大なシステム障害も

 

 

【セイコーの「うるう秒」対策(第2回)】
うるう秒サムネイル150×150-02

・「うるう秒」が発生すると何が起こるのか
・「うるう秒」障害事例が多数報告された2012年
・2015年は本格的な「うるう秒」対策元年
・2017年1月1日をいつもどおりのお正月にするために

 

 

【セイコーの「うるう秒」対策(第3回)】
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・セイコークオリティーの「うるう秒」対応
・完璧な「うるう秒」対策の難しさ
・タイムサーバーの導入メリットについて
・用途に合わせた最適な「うるう秒」調整モードの選択方法

 

 

【セイコーの「うるう秒」対策(第4回)】
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・GPSの位置情報取得にも「正確な時刻」が必要
・タイムサーバーシリーズの「うるう秒」試験
・タイムサーバーの時刻ソース別「うるう秒」対応状況

 

 

【セイコーの「うるう秒」対策(第5回)】
うるう秒サムネイル150×150-05

・グランドマスターとPTP(IEEE1588)のご紹介
・PTPが着目されている背景
・PTPが高精度な理由
・時代は高精度な時刻同期を求めている
・“国際原子時”の時刻系だから「うるう秒」がない

 

約4ヶ月間にわたって「うるう秒」対策についてお話しさせていただきましたが、参考になったコラムはありましたでしょうか?
「エンジニアは元旦返上」を嘆く前に、弊社に一度ご相談ください。

セイコーのサイバータイムシリーズをご導入のお客様は、用途に合わせた最適な「うるう秒」調整モードが選択可能です。
「うるう秒」実施情報の取得についてのご案内資料などを【セイコータイムサーバーの「うるう秒」対策】ページにご用意していますので、ご覧いただければ幸いです。きっと、ご安心いただけるかと思います。

余談ですが、2016年11月16日から3日間、幕張メッセで開催された2016年国際放送機器展(InterBEE 2016)にセイコーソリューションズも出展させていただきました。
多くのブース来場者から、「来年のうるう秒が心配だ」、「1月1日午前9時は多くの視聴者がTVをリアルタイムで視聴するため、放送事故はゆるされない」といったご相談を多数いただきました。

4K/8K本放送が目の前に来ています。
4K/8Kの放送を支える次世代メディア伝送技術MMT(MPEG Media Transport)には、NTP形式の時刻情報が含まれ、「うるう秒」指示子が存在することにも注意が必要です。

それでは、少し早いですが、よい1月1日をお迎えください。

 

参考記事:
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NICT:「うるう秒」実施に関する説明会のお知らせ
https://www.nict.go.jp/press/2016/10/12-1.html

J-CASTニュース(ビジネス&メディアウォッチ)
元旦「うるう秒」でエンジニア悲鳴 「年末年始がなくなる」
http://www.j-cast.com/2016/11/06282669.html?p=all

著者プロフィール

橋本 直也

著者近影:橋本氏セイコーソリューションズ株式会社
製品企画部門で、マーケティング・プロジェクトマネージメントを担当

■経歴
1992年~ 2004年 沖電気工業株式会社にてATM交換機のハードウェア開発に従事
2004年  入社
2004年~ 2013年4月までハードウェア開発エンジニア、主に方式設計に従事
2013年~ 製品企画部門へ異動

近年は、PTP IEEE1588時刻同期関連製品の研究開発、マーケティング業務に従事。現在に至る。

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