タイムサーバーのいろいろと大変なお話
第5回：リプレイスで困ったな

本コラムでは、弊社の技術サポート担当者より、NTPによる時刻同期について様々な視点でご紹介しています。
前回は時刻同期システムとセカンダリタイムサーバーについて書かせていただきました。
今回は、定期的に検討対象となるタイムサーバーのリプレイスについてご説明します。
まずは弊社タイムサーバーの時刻ソース毎のリプレイスについてと、メリットや注意点などをご案内いたします。

タイムサーバーのリプレイスについて

製品、システムのリプレイスと聞くと皆さんはどのような印象を受けますか？検討、構築、テストなどお客様側の対応は多々あり大変とは思いますが、技術サポート担当としては設備の一新により、新機能やより最適なソフトウェアの利用でセキュリティ機能も強化されますので、早々の実施をお勧めしております。
IT機器では通常、販売終了から数年のサポート期間が有りますが、サポート終了後は障害発生時に問い合わせも行えず、お客様自身での障害切り分けから対処までが必要となりますので、サポート期間に併せたリプレイスのご検討が必要となります。
また、タイムサーバーのリプレイスはお客様システム自体の更新に併せて実施される場合も多く、検討漏れが無いようご注意いただければと思います。リプレイスせずにサポート期間も終了した機器では突然のFAN停止から機器故障につながる事例やアナログ回線のサービス終了により利用不可といった事もありえます。異常事態に陥る前に定期的な更新を推奨しております。

下記は販売終了しているタイムサーバーの情報と後継機やサービス、更新メリットを記載しております。ご参考にしていただければ幸いです。

弊社取扱外の時刻ソース

セイコーソリューションズのタイムサーバーで対応している各時刻ソースにつきましては以下の補足もご参照ください。

GPS：

• GNSS対応（※1）
  TS-2560/TS-2220シリーズからアンテナも機能アップし、GNSS対応になります。
  GNSS（Global Navigation Satellite System）はGPSを含む衛星測位システムの総称です。TS-2560/TS-2220ではGPSに加え、日本の準天頂衛星システム（QZSS）「みちびき」やGLONASSが利用可能です。捕捉できる衛星の数が増えますので、屋外では同期が外れにくく、これまでGPS衛星を安定して捕捉できなかった屋内の場所でも利用できる可能性がございます。
  なお、新しいGNSSアンテナは既存のアンテナポールやアンテナ置台は利用できませんのでご注意ください。GNSSアンテナ用のアンテナポールやアンテナ置台をご購入ください。
• 衛星選択の機能強化（※2）
  TS-2560/TS-2220シリーズでは衛星選択の機能強化を実施しています。
  衛星/仰角/SNRのマスクにより、仮に不安定な衛星や角度の低い衛星、信号強度の低い衛星がある場合、それらを除外する事でより安定した同期が可能となります。
• GPSロールオーバーに自動対応（※3）
  ※GPSロールオーバーとは、GPSが扱う時刻は基準時から経過した「週」と「秒」で表す独自体系であり、「週」は10ビット（1～1023週）で表現される為、1024週目（約19.6年）で時刻の巻き戻りが起こる現象です。各機器のロールオーバー発生日は下記をご確認ください。
  よくあるご質問 | タイムサーバー | セイコーソリューションズ (seiko-sol.co.jp)「Q　GPSロールオーバーはいつ発生しますか。」
  更新メリットにも記載していますが、TS-2560およびTS-2220ではロールオーバーを迎えた際の週数を自動で読み替えますので時間が巻き戻る事なく、継続利用が可能です。
• 既存アンテナ、ケーブル利用可（※4）
  必ずしもリプレイス毎の交換が必要ではないですが、どちらも消耗品です。予期せぬ断線や故障に備え、10年程度を目途に機器と併せた更新をお勧めします。
  今回の更新ではアンテナも一新したほうが良く、GPSのみでなく他の衛星システムも含めた利用が可能となりますので、併せてご検討ください。

テレホンJJY：

• テレホンJJYは2024年3月末で終了予定
  （電話回線による標準時提供（TEL-JJY)　お知らせ (nict.go.jp)）
  NICTはテレホンJJYの後継サービスとして光テレホンJJYを提供しています。（光テレホンJJYの利用法 (nict.go.jp)）弊社でも光テレホンJJYを使用した時刻同期サービスとしてタイムマネージドサービス光TJJY（セイコータイムマネージドサービス(光テレホンJJY) | タイムサーバー | セイコーソリューションズ (seiko-sol.co.jp)）を用意しております。ただし、2024年3月間近でのお申込みでは回線の開通が間に合わない場合や、通常2-3ケ月の回線開通期間が大幅に時間を要して4-5ケ月以上になるなど、光テレホンJJYタイプへの移行の妨げとなる可能性がございます。このコラムをお読みのお客様は、是非、お早めにご検討されることをお勧めします。
• TS-2950は光テレホンJJYに標準対応（※5）
  TS-2950は光テレホンJJYに対応しております。ひかり電話回線をお客様で準備していただければ、タイムマネージドサービスやクローズドモバイルサービスのように光テレホンJJYを利用いただけます。設定や運用管理はお客様にて実施していただきます。

セカンダリタイプ：

• TS-2540セカンダリは2025/1/31にサポート終了
  後継機はTS-2560-51（セカンダリ）です。下記ご参照のうえ、TS-2540セカンダリおよび汎用Linuxサーバの更新を検討いただければ幸いです。
  タイムサーバーのいろいろと大変なお話|第4回：セカンダリタイムサーバーって何？|セイコーソリューションズ (seiko-sol.co.jp)

全モデル共通：

• EoS/L、F/W更新、脆弱性
  ご利用のタイムサーバが販売終了やサポート終了を迎えても直ちに機器が停止するわけではありません。ただし機能更新も行われなくなり、近年問題となる事の多い脆弱性が発見されても対応されることもありません。EoLまでにリプレイスされることを推奨します。

後継機のご案内

後継機、サービスのメリットの一部を記載します。

• パフォーマンス向上：TS-2560は10,000パケット/秒、TS-2220は4,000パケット秒のNTP応答性能で大規模システムにも対応
• 統計情報の表示：500件のNTPクライアントの接続情報を保持、どの端末からアクセスがあるか一目で確認可能
• 監視サービス：新サービスでは弊社センターからお客様貸与機器を監視、同期外れや機器停止などもプロが早急に対応

同じ時刻ソースへの置き換えと併せて新規サービスへの移行もご検討ください。

移行後の安定稼働、障害時の対応などサービス提供ならではの良さを後継機と併せてご確認いただけますと幸いです。