1.【導入背景】各教室での時間がばらばらですべての時計の時刻の正確性を維持することが大きな負担でした
- 無線LAN対応NTPクロックを導入した背景をお聞かせください。
試験や授業で時刻の正確性が問われるにもかかわらず各教室での時刻がばらばらなことが課題でした。小学校から高校まではチャイムで始業と終業が決められており、校内放送もありますが、大学にはそのようなものがありません。そのため各教室に時計はかならず設置する必要がありますが、教室の大きさも大小さまざまな上、大抵は天井に近い部分に設置されていることが多いです。本学は公立大学では数少ない総合大学として国際的かつ個性的で多様な研究の場を活かしながら、高度で闊達な少人数教育を行っています。50万㎡のキャンパス内に時計の設置が必要とされる場所が何十という建物の中の教室などに分散しています。
2.【経緯】入学試験ではすべての教室で正確な時刻が必要ですが、時計用の電波が入りませんでした

宮本 貴朗 氏
— 無線LAN対応NTPクロックを検討されたきっかけについてお聞かせください。
各教室の時刻を合わせるためにまず電波時計の設置を検討したのですが電波が全く入りませんでした。大阪という場所柄、福島と九州のどちらの送信所からの電波も受信しにくいことと、建物の建材によっては電波を通しにくいものもあるようで窓際に時計を置いても受信ができない場所もありました。大学で最も時刻の正確性が問われるのが試験、特に入学試験です。受験生全員が同じ時刻に開始・終了しないと不公平が生じるため、試験官が手元に置く小さな電波時計を何十台も前日から窓や屋外に並べて時刻を揃え、翌日各教室に2台ずつ配備するという運用を行っています。
3.【効果】配線工事も不要なので手軽に設置でき、安心感を得られました
— 実際に設置してみた感想をお聞かせください。
自室に試験的に設置してみましたがこの時計の時刻は絶対に正確であるという安心感があります。他の部屋では「ここの時計は3分遅れている」「こちらの部屋は5分進んでいる」というように覚えておかないといけませんが、そのようなわずらわしさがなくなりました。時計を後付けする場合にはPoEモデルは配線工事の手間がかかる点と、配線自体が目立ってしまうので無線LANモデルのほうがよいと思いましたし、実際に導入は非常にスムーズでした。
4.【今後の期待】新設キャンパスの整備も進んでいるので積極的に学内の各教室に展開していきたい
— 今後の期待をお聞かせください。
簡単に導入できたことと安心感が得られたことで非常に満足はしているのですが、欲を言えば電池を交換しないで済むようなものがあるとさらに良いと思います。電池交換の必要がなければメンテナンスがほぼ不要になります。ただこの製品は電池寿命が5年間ということで相当工夫されているなとも思います。本大学は現在でも規模の大きい公立大学ですが2022年度に大阪市立大学と統合することにより誕生する大阪公立大学は学士課程の入学定員数が国公立で3番目の規模の大学になる予定です。1学域11学部15研究科の総合大学として府立大の4キャンパス(うち1か所はサテライト)と市立大の3キャンパスのほか、新たに大阪城の左側に森之宮キャンパスが新設される予定です。森之宮キャンパスのあるエリアは2025年の大阪・関西万博を見据えてスマートシティとしての再開発が検討されており、大学と民間企業とのより活発な産学連携も期待されています。今後本格的にNTPクロックを学内に展開するということになるとキャンパスの拡大もあいまって100台~200台の規模になりますのでその際はセキュリティの観点から時計用のVLANを設定することで対応することになると思います。
本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
※ 社名および記載されている内容は、取材当時のものです。現在の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。
※ 記載されている社名、製品名等は各社の商標または登録商標です。