ネットワークの信頼性を高めるためにセカンダリタイムサーバーを導入し、冗長性と負荷分散を実現する方法をご紹介します。

セカンダリタイムサーバーとは

セカンダリタイムサーバーとは

タイムサーバーシリーズでの『セカンダリタイプ』とは、NTPプロトコルにより、企業内・システム内にある他のタイムサーバーや、インターネット上の公開NTPサーバーと時刻同期を行うアプライアンスNTPサーバーをさします。階層構成の時刻同期システムを構築する際に利用します。
セカンダリサーバーは、同期元として使用しているタイムサーバーや、そこまでのネットワーク経路に障害が発生しても、内蔵している高精度発振器により正確な時刻を維持しますので、障害発生時のNTPクライアントへの影響を最小限におさえることができます。

セカンダリタイムサーバーが必要な3つの理由

セカンダリタイムサーバーを用いてタイムサーバーを冗長化することにより、安定したシステム運用を実現できます。

① 信頼性の向上(冗長化)

  • 複数のタイムサーバーを冗長構成にすることで、時刻の正確性と継続性が確保され、システム全体の稼働率が向上します。
  • セカンダリサーバーは同期先のNTPサーバーとの同期状態を監視しており、異常検知や自動切替も可能にすることで障害時の復旧が迅速に行えます。

② 運用負荷の軽減

  • 一元的な時刻配信体制を確立することで、各機器での個別設定や時刻ずれのトラブル対応が不要になり、管理工数が削減されます。
  • セカンダリサーバーでログ取得やステータス監視を行うことにより、運用状況の見える化異常時の迅速な原因特定が実現し、トラブル対応の時間が短縮されます。

③ セキュリティ強化

  • 外部のNTPサーバーを同期先として使用する場合、外部への通信を行うNTPサーバーと、内部ネットワークへ時刻を配信するセカンダリサーバーを分離して構成することにより、時刻同期に関する外部との通信を最小限に抑制するとともに、内部ネットワークの安全性が向上します。

セカンダリに専用アプライアンス装置を導入する利点

セカンダリタイムサーバーを設置する場合には、運用負荷の軽減やメンテナンスコストの削減のために、専用のアプライアンス装置を導入することをおすすめします。

汎用サーバーを設置している場合

・各機器ごとに脆弱性診断を実施、対策を行う必要がある。
・各機器の保守契約に応じてメンテナンスを実施する
・トラブル時も機器の問い合わせ先がバラバラ

専用アプライアンス機器を設置している場合

・脆弱性対策は、必要に応じて弊社からファームをご提供
・メンテナンスも一元化。ワンストップで対応可能
・トラブル時も弊社タイムサーバー担当がサポート

汎用サーバーと専用サーバーの比較

項目/種類 セカンダリタイムサーバー
TS-2560-51
汎用サーバー
(Linux/Windows)
NTPサーバーを搭載している
ルーター等
利用用途 拠点用の高性能NTPアプライアンスサーバー(上位は組織内NTPサーバー、もしくは公開NTPサーバー) Stratum3クラスの自走を必要としないNTPサーバー ルーターとデバイスだけで構成されるような小規模システム向け
内蔵発振器/水晶等 ◎:高精度発振器(OCXO) △:RTC △:RTC
時刻ソース喪失時の動き ◎:時刻ソースとの接続が途切れても、高精度発振器で維持される内部時計により、長時間安定した時刻を提供 ×:時刻ソースとの同期が取れないと、大きな時刻ずれの発生や、NTPサーバー機能が停止 ×:時刻ソースとの同期が取れないと、大きな時刻ずれの発生や、NTPサーバー機能が停止
うるう秒調整 ◎:調整方法(即時/漸次)や期間など柔軟に調整可能 〇:STEP/SLEW調整 △:上位サーバーの設定による
機能/設定 ◎:NTPサーバーに特化したアプライアンス。豊富な機能とわかりやすい設定 △:サーバー設定のノウハウが必要。やや煩雑 △:最小限の機能のみサポート
障害検知 ◎:NTP同期外れをSNMPtrapやSyslogで通知。SNMP MIBでの確認も可能 △:Syslog △:Syslog
メンテナンス ◎:必要に応じて修正プログラムを提供 〇:修正プログラムやセキュリティパッチの適用可否をお客様にて判断 △:NTPはさほど注力されていない
脆弱性対応 ◎:必要に応じて修正プログラムを提供 〇:修正プログラムやセキュリティパッチの適用可否をお客様にて判断 △:メーカーの保守契約による
障害時の対応 ◎:弊社タイムサーバー担当がサポート支援 △:利用OS等の保守契約に依存 △:メーカーの保守契約による

内容が重複する部分もありますが弊社の技術サポート担当者によるコラムも併せてご参照ください。
第4回:セカンダリタイムサーバーって何? ~汎用サーバーと何が違うの?~

セイコーのセカンダリ専用モデル

TS-2560-51

TS-2560シリーズは、1999年の初代タイムサーバー発売以来、幅広い業界に導入いただいているセイコーのNTPサーバーの最新モデルです。
セカンダリタイプのTS-2560-51は、これまでのNTPサーバーとしての機能を継承し、さらにAC電源の二重化・設定情報の外部記憶媒体への保管対応など、高可用性を備えたモデルです。
製品の詳しい仕様についてはTS-2560の製品ページをご参照ください。