弊社上級ネットワークエンジニアによる、セキュリティーに関するコラムをお届けします。
会社の公式文書という形ではない、作者個人の現場感あふれるコラムをお楽しみいただきつつ、日頃の営業活動へのヒントやお客様へのコミュニケーションなどにご利用頂ければ、幸いです。

※本コラムは、平成28年3月頃に社内コラムとして連載したものに加筆・修正し、掲載させていただいています

第5回 Bitcoinって何?

今週は、セキュリティー関連は少しで、仮想通貨 ビットコイン(以降、Bitcoin と表記)について、分析してみたいと思います。

[1] Bitcoinって何?

第2号で少し触れましたが、現在、仮想通貨とかデジタル通貨とか呼ばれるBitcoin(ビットコイン)について、なるべくわかりやすく説明したいと思います。Bitcoinは、実際にパソコンが買えたり、航空券が買えたり、宿泊費用に使えたりして、使用場面が拡大しています。わかりやすい解説のサイトがあればそこのリンクを紹介して終わらせようとしたのですが、わかりやすいと自称するサイトでも、簡単ではありませんでした。

Bitcoinは、中本哲史(なかもとさとし)と称する人物が、2008年から2009年にかけて投稿した論文をもとに、2009年に本人が中心になりシステムを開発しました。それは、Bitcoin(BTC)という単位を使用して、現実の通貨のように、販売・購入などが処理できる決済システムのことです。

特徴は、
① セキュリティーの確保のためにいくつかの暗号理論を使用している。
② この通貨を管理する組織(国家等)は存在せず、当然中央管理サーバーも存在しない。1対1(P2P:ピアツーピア)で取引を行う。
③ Bitcoinという仮想通貨は、決済システムの承認処理を担当すれば、報酬として得られる。
④ Bitcoinのソフトウエアは、すべてオープンソースとして公開されている。
こう書いても、②と③は、「?」ですよね。

通貨という、紙幣や貨幣で物を買うのであれば、現実のお金が存在します。銀行振り込みやクレジットなど、信用で物を買う場合であっても、金融機関で残高が管理され、基本的にはその範囲で買い物ができるわけです。それは、残高を管理しているサーバーがあり、それを人間が管理しているからです。 ところが、Bitcoinの場合、残高などの情報はBitcoin決済システムに参加するそれぞれのコンピュータの中で保持されます。
それは、Bitcoinが開始した2009年からのすべての取引履歴情報です。この情報により、勝手に口座の残高を水増ししても、履歴を最初からたどれば、不正が判明する仕組みです。全員の通帳を、参加者全部が持っているイメージです。

そして新たな取引があった場合に、この取引履歴をすべて確認し、履歴情報に取引を追加(承認)する処理を担当すれば、報酬としてBitcoinが得られる仕組みです。この報酬を得る行為を、Bitcoinシステムでは、採掘と言っています。(まるで金鉱を掘り当てるイメージです。)
担当するためには、ある数学ゲーム競争に勝ち抜く必要があります。 (このゲームは非常にうまく考えられていますが、説明するにはあまりにも数学的すぎるので省略します。)

Bitcoinは、このように報酬として獲得する以外に、通常の取引を通じて、現物を売るか、円やドルなどの通常の通貨との交換することで入手できます。

また、この決済システムとは別に、独立して活動している交換所とか取引所と呼ばれるが存在があります。きちんとした定義はありませんが、交換所は通常の通貨とBitcoinの両替を行い、取引所はBitcoinで買い物をする際の取次ぎを行っています。

ここまでで、あれ!と感じられた方もいらっしゃると思います。②において1対1の取引と書いているのに、現実にはこのように交換所とか取引所が存在するのは、おかしいのではないかと。

これはBitcoinのシステム上は不要なのですが、採掘以外でBitcoinを入手するには、両替が必要です。また、買いたいものを扱っている売主を個人がBitcoinのネットワークを使って見つけるのは簡単ではなく、やはり取次ぎが必要になってしまっているのです。

以上が、Bitcoinの仕組みの説明です。いかがですか。これだけだと通常のクレジットの決済システムとそれほど相違があるとは思えませんよね。
違っているのは、
・天然資源のように発行できるBitcoinに上限を決めていること。(インフレ防止目的?)
・管理者が存在しない(1か所で残高管理がされてない)こと。(実際には、交換所と取引所が管理機能を分散している)

しかし、このような仕組みを理解して、管理者のいない通貨は素晴らしいから使おうと考えてBitcoinが利用されているわけではなく、現在利用されているのは、FX(外国為替証拠金取引)と同様の投機目的であったり、取次ぎや両替の手数料の安さゆえに利用されているのです。
(ただし、手数料等は、固定レートはなく個別に決めることができるので、常に安いわけではありません)

サイバーセキュリティコラム 05 仮想通貨 ビットコイン(Bitcoin )

 

[2] Bitcoinは、この先どのように展開していくのだろうか?

[1]ではBitcoinがどのようなものであるかを解説しました。
今回は、私が感じた疑問点について調べた結果と将来予想を、QA形式で記述したいと思います。

① 本当にメインとなる管理者はいないのか?

 ―> 理論的には、管理者は必要ない仕組みになっています。実際には、誰も管理していないのではなく、Bitcoin 利用者すべてが
     コンピュータを使って管理者として参加する合議制(相互監視)の仕組みなのです。

② メイン管理者がいなくて、口座番号はどのようにして決まるのか?重複のないことが保証されているのか?
 ―> 口座番号の重複がないことは保証されていません。Bitcoinでは、ランダムに生成する77桁の秘密鍵から生成する128桁の
     公開鍵が、口座番号の役目をします。ランダムに作成した77桁の数字に重複する可能性を考える必要がないという考え方です
     (すべて10進数換算の桁数。実際は、桁数を少なくするためにアルファベットを加えた58進数で表現しています)。

③ 信用できるのか?
 ―> すべて利用者の自己責任です。保証する仕組みも組織もありません。Bitcoinのまま持っているのが不安であれば、毎回
     交換所で両替をするしかありません。

④ 利用されている規模はどのくらいなのか?
 ―> それそれの取引所が公表している数字はありますが、全体としてはわかりません。現在までに採掘された総ビットコイン数は、
     約1300万ですから、10月5日の相場は、1BTCが235 USドルなので、現時点の総Bitcoinの価値は、約3600億円となります。

⑤ 偽Bitcoinは作れるのか?
 ―> 前号でも触れたように、Bitcoinという貨幣が定義されているわけではありません。Bitcoinとは、あくまで取引の決済システムで
     利用する単位です。インターネット上には、金貨のようなBitcoinの画像が表示されていますが、このような形で流通している
     わけではありません。具体的なBitcoin硬貨を作ることもできなければ、自分の口座にBitcoinを勝手に増やす操作をしても、
     履歴とつじつまが合わなくなり、拒否されます。

⑥ 取引が増えて取引履歴の量が膨大になっても大丈夫なのか?
 ―> 正規の形で取引履歴を取り込むと、現在数十ギガバイトのサイズになっています。減ることはありませんので、ディスクとネット
     ワークへの圧迫は避けられません。一応、簡易的な履歴形式もサポートしています(それでも数十メガバイトです)。今のままで
     は、データ量は減ることはありませんので、コンピューターパワーのある取引所、交換所の存在は欠かせません。

⑦ オープンソースだと誰でもまねができるのでは?
 ―> 2013年に、Mona という単位を使用する日本初のMonacoinという仮想通貨が生まれています。今や世界中では、数百もの仮想
     通貨が生まれているといわれています。この仮想通貨は、初期の採掘処理がもっともcoinを稼げる仕組みになっているので、
     新たなものを作っておいしい汁を吸おうという輩が生まれています。

⑧ 採掘量に上限があり、採掘(認証処理)で稼げるBitcoinが減ってくれば、誰も採掘処理をやりたがらなくなるのでは?。
 ―> 現時点でも、かなりのCPUパワーを持っている組織でないと、採掘ができなくなっています。そうするとBitcoinの相場が高騰
     しないと、コンピュータを稼働させた電気代も出ないということになってしまう可能性もありえます。

⑨ 1BTCの価値はどうなっているのか?
 ―> 10月5日現在1BTC、約235ドルです。2013年11月には1200ドルを超える時期もあり、各国のBitcoin対応のニュースがあると
     大きく変動しています。

⑩ P2P(1対1)で取引をしているのに、なぜMt.GOXが破たんして、BTCが失われたのか?
 ―> 基本的な手順では、BTCは自分の口座に保存(記録)されます。交換所が介在した場合に、取引ごとに交換所の口座から自分
     の口座に移す際の手数料を惜しんで、交換所を銀行のように考えて預けたままにしていたため、Mt.GOXの管理者に引き出され
     てしまったのです。

⑪ Bitcoinは、将来どうなっていくのか?
 ―> あくまで私の予想になりますが、仮想通貨としての暗号技術に重大な欠陥が見つからない前提で、1つの決済手段として生き
     残り、かつ、株式や金などと同様に、リスクヘッジ手段の1つとしては生き続けるのではないでしょうか。

⑫ 秘密鍵をなくすとどうなるの。
 ―> ここが、仮想通貨としてのデジタル通貨の最大の問題点です。口座作成も利用者が自由にできる(一人で何個作ってもかまわ
     ない)ので、口座の情報がディスク障害などで消えてしまった場合、復活する手段はありません。金融機関のように身分証明書
     や印鑑を使って、復活することはできません。

実際には、Bitcoinを調べれば調べるほどいろいろな疑問が出てきて、自問自答を繰り返してしまいました。

アメリカ政府が行っていた諜報活動行為を暴露したことで有名なエドワード・スノーデン氏が、ツイッターを開始したとニュースに流れました。まだ重大な内容はつぶやいていない様ですが、フォロワーが1日もたたないうちに100万人に達したと報道されています。また、自らフォローしたのは、暴露をしたNSA(アメリカ国家安全保障局)のみで、そこで最初につぶやいた言葉が、‘Can you hear me now?’(聞こえてる?)は非常に思わせぶりです。 しばらく、目を離せませんね。

※本コラムは、平成28年3月頃に社内コラムとして連載したものに加筆・修正し、掲載させていただいています。

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著者プロフィール

奥ノ坊 彰

奥ノ坊 彰セイコーソリューションズ株式会社 戦略ビジネス本部 エバンジェリスト

ネットワーク ・ セキュリティー「一筋」?十年。社内外のネットワークインフラ構築を担当する。社内の新人向けから技術者向けまでネットワークやインターネットの講座を幅広く開催している。

講習実績

  • 「デジタルでイノベーションを起こす」
    第4次産業革命への取り組み
    -セイコーソリューションズが進めるデジタルトランスフォーメーション支援戦略-