第3回 InterBEEへの道
『Inter BEE 2017』の弊社ブースでのPTP動態デモをレポート
前回のコラムでは、弊社グランドマスタークロックとアリスタネットワークス社のL2スイッチで実施した、放送系PTPプロファイル(SMPTE ST 2059)における相互接続テストについてご紹介しました。
第3回の今回は、2017年11月15日-17日に行われた『Inter BEE 2017(国際放送機器展)』の弊社ブースで実施したPTP動態デモの内容と構築の様子をご案内します。
実際にネットワークを介してPTPが同期しているところを見たい! という声を多数いただき、今回、動態デモを実施することにしました。
PTP動態デモのポイント
- マルチベンダー環境でPTP(SMPTE ST 2059)が同期するか?
- 精度が1μs(マイクロ秒)以内に収まっているか?
デモ構成
PTP SMPTE 2059-2 デモ構成
今回は、Timeserver Pro. TS-2950をグランドマスターとし、ネットワーク機器を2段挟んで、最終段のスレーブとグランドマスターの1PPSを比較しました。
……ということで、ネットワーク機器を3社、スレーブ機を1社に提供いただきました。
今回使用したネットワーク機器
- トランスペアレントクロック(TC)
・Arista 7150S - バウンダリークロック(BC)
・Arista 7150S
・Cisco Nexus 92160YC-X
・Mellanox SN2100 - スレーブ機
・Oregano systems syn1588 PCIe NIC
ご協力ありがとうございました!
ネットワーク構築レポート
・14:00:ブース到着!
・14:05:まずはラッキングとコンソールサーバーの接続から!
ネットワーク機器の構築と運用にはコンソール接続が欠かせません。
一台一台シリアルコンソールケーブルを挿しかえるのは面倒なので、コンソールサーバー(SmartCS NS-2250)でコンソールを束ねます。
コンソールケーブルは赤に決定!
・15:00:設定投入&確認!
コンソールサーバーに接続したらネットワーク機器へ設定を流し込みます!
シリアルコンソール経由で設定が正しく反映されているかも容易に確認できます。
※主な確認項目
・PTP関連 :profile、domain number、1step or 2step、sync interval ……etc.
・その他 :ネットワークのコンフィグ、同期状態……etc.
確認といっても今回は事前に社内でコンフィグを用意していたので楽々完成です!
・16:00:配線などの整理
※意外とここに時間がかかりました(汗)
・17:00:じゃーん!!完成!
ラック全体
デモの結果
- マルチベンダー接続かつ、多段構成の状態でもInter BEE 2017の会期中、同期状態を維持することができました。
- 精度も概ね100ns(ナノ秒)~200ns程度の間に収まっていて、安定した同期状態を維持していることを確認しました。
- 精度が維持できたのは、前回のコラムでもお伝えしたように、グランドマスターの精度だけでなく、間に入っているPTP awareなネットワーク機器の存在が大きいです。やはり、PTPの同期ネットワークにTC / BCは欠かせません。
【BCとTCの動作イメージ】
展示中は多数の来場者に足を止めていただき、デモをご覧いただいたのが非常に印象に残っています。
その中で、多くのご質問やご要望をいただき、Video over IPへの期待を感じ取ることができた3日間となりました。
PTPの展示のみに注力した弊社ブースの様子
次回はVidMeet2(IIJ主催)のイベントレポートをお送りします
今回はPTP専用のネットワークでのデモをご覧いただきましたが、今後はマルチベンダー環境はもちろん、映像信号を流した状態、SMPTE ST 2110を使った状態など、より現場の利用シーンに近い構成でデモを実施したいと思っております。ご期待ください!
さて、次回のコラムは2017年12月11日(月)に行われた『VidMeet2』(IIJ主催)のイベントレポートをお伝えする予定です。
……そうそう、タイトルの「InterBEEへの道」ですが、別コラムの「ShowNetへの道」のタイトルを真似しました!
「ShowNetへの道」でもInterop TokyoのShowNetの中でのPTP相互接続の取り組み、奮闘の様子がご覧いただけます。
ご興味のある方は、ぜひアクセスしてみてください。
- ShowNetへの道[2017]
https://www.seiko-sol.co.jp/shownet2017/no-04/ - ShowNetへの道[2016]
https://www.seiko-sol.co.jp/shownet/no-03/
それでは、また!
著者プロフィール
海野 俊
セイコーソリューションズ株式会社
アカウント営業(主にメディア/通信事業者担当)
■経歴
2009年 入社
2009年~ 時刻同期製品全般のプロダクト営業
2014年~ メディア/通信事業者担当のアカウント営業
近年はJANOG実行委員をするなど業界コミュニティにも貢献。
現在、放送業界向けグランドマスター TS-2950-10とTS-2950-20を全国の放送局への提案を担当。
講演実績
- IIJ VidMeet1
「IBC2017 IP Showcase参加レポート」
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4K、8K時代のメディアトランスポート方式として国際標準化されたのが、IPをベースにした伝送技術「MMT」です。MMTでの同期において不可欠な高精度な時刻ソリューションをセイコーソリューションズのタイムサーバーが提供いたします。
放送業界事例(スタジオのIP化と局間伝送)
セイコーの「Time Server Pro. TS-2950」は 、IPネットワークによる高精度な時刻同期「PTP(SMPTE ST 2059)」によるナノ秒精度の絶対時刻の配信で、ライブプロダクションシステムのIP化や局間伝送の信号同期をサポートいたします。